第二章
「彼女って可愛いから、高校でもモテるんでしょうね」
十番商店街の入り口まで戻ってきた時、ふみなが不意に言った。
「十番高校だったら、共学でしょ? 衛クン、気にならない?」
ふみなは悪戯な笑みを浮かべて、衛の顔を覗き込んだ。
考えたこともなかった。
高校でのうさぎ。自分の知らないところでの彼女の行動。彼女の異性の友人。気にしたことなどなかった。
運命の出会いをし、ごく自然な流れで恋人同士となり今まで来てしまったが、衛はどこかでそれが定められたふたりの運命だと感じていた。ふたりが結ばれるのは、当たり前のような気がしていたので、うさぎの交友関係など特に気にしたこともなかった。
それはうさぎに対する自分の甘えであり、思い上がりに他ならなかった。
「やだ! 気にしちゃった?」
ふみなが驚いた表情で、自分の口に軽く手を当てた。真剣な表情で考え込んでしまった衛の顔を、心配そうに覗き込んだ。
「………」
衛は答えられなかった。気にしていないと言ったら、嘘になるからだ。しかし、気にしているとも言えなかった。
「まもちゃん。うさぎ、アレでけっこうモテるらしいから、本当に気を付けないと誰かに取られちゃうかもよ」
不満げな口調でちびうさが言う。怒っているのだ。あの場にうさぎを残してきてしまった衛に対して。
衛は何も答えられなかった。ふみなの何気ない一言が、心に引っ掛かっていたからだ。ちびうさの一言が、更に心に突き刺さった。
「そうならないように、がんばってよ! あたしの為にもね!」
ちびうさはそう言うと、人混みの中に駆け出していってしまった。
「どうしたの? 緊急の用事って………」
ゲームセンター“クラウン”の地下に秘密裏に存在する司令室に入ってくるなり、出迎えたルナに声を掛けたのは、亜美だった。
亜美、レイ、まことの順番で司令室に入る。司令室にはルナ、アルテミス、ダイアナ、ほたると美奈子の五人が待っていた。
「いいことがあったって、顔してないな」
司令室の雰囲気を敏感に感じ取ったまことが、神妙な顔付きになった。
「あたし、学校を休んでたのに呼び出されちゃって………」
美奈子は額に手を当て、しかめっ面を作った。二日酔いはまだ直っていないらしい。
「自業自得よ」
レイが冷たく言い放つ。酔っぱらって暴れる美奈子を家まで送っていったのは、レイと浅沼なのだ。
「ほたるちゃん。お薬ちょうだい」
「駄目ですよ。さっきも飲んだじゃないですか。薬の飲み過ぎは危険ですよ」
美奈子にそう言うほたるは、将来看護婦を目指していた。病気や薬に対する知識は、同世代の学生と比べると格段の差がある。
「うぅ………」
美奈子はふてくされて、椅子にへたり込んだ。
「じゃあ、みんな、これを見てくれるかしら」
美奈子の話が終息したようなので、ルナは本題に入った。遅れて司令室に来た亜美、レイ、まことの三人に、ひとつのモニター画面を見るように促した。
それには燦々と輝く太陽が映し出されていた。
「太陽がどうかしたの?」
ルナが自分たちに太陽を見せた真意を測りかね、レイが尋ねた。
「ここ二‐三日、太陽が異常なほど活発に活動しているんだ」
答えたのはアルテミスだった。アルテミスは続けた。
「黒点の数が異常なほど増えている。これではまるで………」
「あの時のようだって、言いたいのね」
亜美がアルテミスの言葉を引き継いだ。表情が凍っている。
思い出したくもない過去が、脳裏に浮かんだ。自分たちの全てを失ってしまったあの事件。それは気の遠くなるほど、太古の時代に起こった事件だった。
あの時も、太陽の表面に異常なほどの黒点が確認された年だった。
「思い出したくもない………!」
美奈子が吐き捨てるように呟いた。二日酔いで気分が悪くても、ちゃんと話は聞いていた。重要な会議を上の空で聞いているようでは、四守護神のリーダーは務まらない。
「嫌な過去ね………」
亜美が同意する。
クイン・メタリアとの戦い───思い出したくもない苦い過去である。
「これを見てくれ」
アルテミスがダイアナに目配せをする。ダイアナは肯いてからキーボードを操作した。モニターの画面が切り替わる。
写真だった。空を写したものだ。綺麗な青空だったのだが、何か違和感がある。
「この黒い影のようなものは?」
まことが違和感に気付いた。写真の右隅の方に、黒い影がぼやけて写っている。雲のように見えなくもないが、それにしては小さすぎるように感じる。煙にしては固まりが大きすぎるし、周囲にはそんな黒い煙を吐き出すような煙突も見当たらない。
「黒い影だけが随分とぼやけて見えるけど………。もしかして、移動していたの? しかも、かなりのスピードで」
質問してきたのは亜美だった。食い入るように、モニター画面に映し出された写真を見つめている。
「どうして移動しているって感じたんだ?」
まことが亜美に訊いた。
「景色そのものははっきり写っているのに、黒い影だけがピントがぼけているように写っているから。静止していたら、景色と同じようにはっきりと写るはずだわ」
亜美は答えた。なるほどと、まことと美奈子が肯いた。
「あたしたちで解析をしているんだけど、正体が全く分からないのよ」
ルナが言った。その様子から察すると、この写真は何日か前に撮影したものらしかった。
「太陽の異常活動を観測した次の日に、撮影したものだそうです」
ほたるが皆に言った。“クラウン”のビルの屋上には、元基の許可を得て取り付けた監視用のカメラがあった。この写真は、そのカメラで撮影したものだと言うことだ。
「嫌な予感がするわ………」
淡々とした口調でレイが言った。
「レイの“予感”はよく当たるからな………。何事も起きなければいいけどな」
神妙な面持ちで、まことが言った。
一同はその言葉に、ゆっくりと肯き返すしかなかった。
ちびうさは家に向かって、ぶらぶらと歩いていた。うさぎのことも気になるし、衛のことも気になる。だけどふたりの問題なのであって、自分が口出ししていいことではない。しかし、ふたりが結ばれてくれなければ自分が生まれてこないことも事実なわけで、内心は穏やかではなかった。
「なぁに、難しい顔してるのぉ? スモール・レディ」
底抜けに明るい声が聞こえた。自分を「スモール・レディ」と呼ぶのは、二十世紀ではダイアナくらいだ。だが、そのダイアナは、今は“クラウン”の地下司令室にいるはずだった。
「だれ?」
ちびうさは声の主を捜した。しかし、姿が見えない。
「こっちですよぉ」
頭の上で声がした。見上げてみると、塀の上に小柄な女の子が座っている。
「パ、パラパラ!?」
「はいですぅ」
パラパラと呼ばれた少女は、底抜けに明るい笑顔を見せた。
「ひとりで来たの!?」
「はいですぅ! でもぉ、ちゃぁんとキングの許可はぁ、頂いてますよぉ。プルプルにぃ、時空の鍵もぉ、貸してもらいましたぁ」
パラパラは底抜けに明るい笑顔で、時空の鍵をちびうさに見せた。「プルプル」とは、セーラープルートのことだ。彼女のことをプルプルと呼ぶのは、パラパラくらいのものだ。
彼女はちびうさこと、プリンセス・レディ・セレニティを守護するセーラーカルテットのひとりである。しかしながら、泣き虫、弱虫、悪戯好きと、戦士としては全く役に立たなかった。
「よいしょっとぉ!」
パラパラはひらりと塀から身を躍らせると、重力をまるで無視したような動きで、ふわりとちびうさの前に降り立った。
「プリンセスのお守りがぁ、ダイアナだけでは不安なのですぅ。だからぁ、パラパラが来ることになりましたぁ」
パラパラはニコニコしながら、小首を傾げて見せた。
しかし、ちびうさは頭を抱えた。パラパラが来ることの方が不安である。
セレセレはリーダーとして、緊急の時の為に三十世紀を動けないとしても、ジュンジュンやベスベスだっているのだ。護衛としては、ふたりの方がよっぽど頼りになるはずだ。
「プリンセスをお守りするのがぁ、パラパラたちセーラーカルテットのぉ、務めですからぁ」
パラパラはあっけらかんとしている。
「でも、ひとりって言うのが、なんとなく引っ掛かるんだけど………。ホントに許可貰ってきた?」
ちびうさはじろりとパラパラを見やる。護衛ならペアで来るべきである。ひとりだけと言うのが、どうも解せない。
「細かいこと気にしてるとぉ、皺が増えちゃいますよ、スモール・レディ」
パラパラは話を逸らした。
ちびうさは深い溜め息を付くしかなかった。
「地場 衛さんですね」
背後から声を掛けられ、衛は足を止めた。ゆっくりと振り向く。
「キミは、さっきの………」
振り返ると、そこには先程一の橋公園で、うさぎの前に現れた少年が立っていた。
「俺に、何か用か?」
ひどく、ぞんざいな口調になった。今は会いたくない人物だったのだ。
少年は口元に冷笑を浮かべていた。
「何が可笑しいんだ!?」
衛は不愉快になった。自分を見下したような笑いだったからだ。
鋭い眼光で少年を睨み付けた。
視線が少年の冷たい瞳を捉えた直後、唐突に左胸に焼け付くような衝撃が走った。
少年はくるりと背を向ける。呼び止めようとしたが、声が出なかった。
やがて全身の力が抜け、衛は崩れるようにその場に倒れ込んだ。赤い、生暖かい液体が、アスファルトに広がっていく。それが自分のものであることに気付いた直後、意識が薄らいでいった。
「まもちゃん!!」
必死の形相で、うさぎは病室へと駆け込んできた。
病室はひとり部屋だった。窓際に置かれたベッドに、人工呼吸器を付けた衛が横たわっていた。
ベッドの傍らに丸椅子を置き、衛の看病をしていたらしい原崎ふみなが、駆け込んできたうさぎとちびうさに目を向けた。
「大丈夫、急所は外れていたそうよ。命に別状はないわ。今は麻酔が効いて、眠っているの」
うさぎに連絡をしてきたのは、ふみなだった。うさぎの行き付けであるパーラー“クラウン”に連絡をして、電話番号を聞いたらしかった。教えたのは、恐らく宇奈月だろう。パーラー“クラウン”に彼女たちがよく出入りしていると言うことは、衛から聞いていたのだろう。
「わたしと別れた直後だったわ」
ふみなは、その時のことを話し出した。
衛と別れ、自宅のある六本木方面に向かって歩き始めると、直後に悲鳴が聞こえたのだと言う。血塗れで倒れている衛を見て、買い物途中の主婦があげたものだと言うことだった。
目眩を感じて倒れそうになったうさぎだったが、なんとか踏み止まることができた。聞いておかなければならないことだと感じたからだ。
「犯人は………?」
「まだ捕まってないわ」
ふみなは首を振った。通り魔的な犯行ではないと、付け加えた。
ちびうさは会話には参加せず、無言のまま眠り続けている衛の顔を、じっと見つめていた。
「他人のそら似かもしれないんだけど………」
ふみなは、遠慮がちに言った。
「一の橋公園であった、カレとすれ違ったのよ」
一度しか会っていないので、自信がないけどと付け加えた。
「すれ違った?」
「衛クンのいた方向から、歩いてきたようなんだけど………」
ふみながそこまで言いかけた時、廊下で慌ただしい足音が響いた。
バタンと勢いよくドアが開かれた。どかどかと人が雪崩れ込んでくる。
「うさぎ、衛さんが刺されたって………!!」
入ってきたのは仲間たちだった。宇奈月から連絡を受けたようだ。
「大丈夫よ、みんな。命に別状ないって」
うさぎはまず、衛が一命を取り留めたことを仲間たちに報告した。
「よかった………」
ほたると亜美が、ホッとしたように胸を撫で下ろした。
「誰がこんなことを!」
まことは怒りの表情で、無言の衛の表情を見つめる。
「犯人は?」
そのまとこの言葉に被せるように、レイがうさぎに訊いた。うさぎは首を横に振るしかない。
「十番病院に来る前に、現場を通ったんだけど、現場検証をしている刑事さんの中に若木っちがいたから、すぐに犯人は捕まると思うけど………」
美奈子は言った。「若木っち」とは、美奈子の知り合いの刑事だった。警視庁は警視総監直属の敏腕刑事である、と本人は言っていた。セーラーVで活躍している時に、何度か世話になった(世話をした)刑事である。
「犯人は、うさぎさんの知り合いかもしれないのよ………」
「どう言うこと?」
ふみなのその言葉を受けて、美奈子は怪訝そうな表情になる。うさぎに視線を向けた。うさぎ本人の口から、状況の説明が欲しかったからだ。
「分かんない、わたしには………」
うさぎは頭を振って、視線を下に落とした。その様子に、美奈子はそれ以上の質問はするべきでないと判断した。
「彼女は?」
まことがちびうさに訊いた。ふみなとは初対面なので、彼女の正体が知りたかった。
「まもちゃんの大学の同級生なんだって」
ちびうさが説明をすると。ふみなは柔らかい笑みを浮かべて、一同に軽く会釈をした。
「あんたがまもちゃんにちょっかい出してるって言う、大学の同級生か!」
まことが敵意丸出しの視線を、ふみな向けた。
「まこ、今はそんな話をしている場合じゃないわ!」
レイに窘められ、まことは不満そうに鼻を鳴らした。確かにレイの言うとおりで、今は話題にすべきことではなかった。
「取り敢えず、衛さんの着替えが必要ね。しばらく入院することになるでしょうから、身の回りのものを持ってきてあげないと」
亜美が優しい口調でうさぎに言った。
「でも、彼の部屋には入れないでしょ?」
ふみなが言うと、
「うさきが合い鍵を持ってる。アンタが心配することじゃない」
突っ慳貪にまことが言った。まことにしてみれば、うさぎは合い鍵を持たせて貰える仲なのだと言うことを、ふみなに伝えたかったのだ。
「行こう、うさぎ」
うさぎの背中をポンと叩くと、まことは先頭に立って病室を出ていく。美奈子、ほたる、レイ、うさぎの順で、まことに続いた。亜美が病室を出るとき、中を見やると、ちびうさがまだ残っていた。
「あたし、ここにいる」
ちびうさが言うと、亜美は微笑んでから肯いた。
「なんか、気にくわないな、あのオンナ………」
病院を出ると、開口一番まことが言った。あからさまに不快そうな表情をしてみせる。
「彼女に八つ当たりしたって、しょうがないでしょう?」
レイが窘めた。このままでは、衛が事件に巻き込まれたのは、彼女のせいという論法にすり替わってしまいそうだったからだ。
「だけどさぁ………」
まことはまだ不満そうだ。
「それより、彼女が気になることを言ってたわよね」
亜美は唇に軽く手を当て、独り言のように言った。
「うさぎの知り合いが、事件に関わってるかもしれないってトコ?」
美奈子が聞き返すと、亜美は肯いて見せた。
「確かに、気になる言葉ですよね」
ほたるが同意を示した。
「うさぎちゃん、さっきは『分からない』って、答えてたけど、心当たりはあるんでしょ?」
亜美は、後ろを歩いているうさぎに振り返った。 うさぎは足を止め、首を横に振った。
「ゴメン………。今は、何も考えられない………」
「うさぎちゃん!」
「………亜美ちゃん」
尚も問い質そうとする亜美を、レイが止めた。
「まだ気持ちの整理ができてないのよ。もう少ししたら、話してくれるわよね、うさぎ」
「………ありがとう、レイちゃん。ゴメンね、みんな」
「ま、しゃーない! 取り敢えず、まもちゃんのアパートに行こうぜ!」
結局まことがその場をとりまとめ、六人は衛のアパートに向かった。
病室に残ったちびうさは、眠り続けている衛の顔をじっと見つめていた。呼びかけてみても、反応はなかった。
「大丈夫よ、小兎ちゃん。衛クンはすぐによくなるわ。お医者様もびっくりしていたのよ。驚異的な回復力だって」
ふみながやさしく声を掛けてくれた。ちびうさは、ふみなに向き直った。
「お姉さんは、まもちゃんのことが好きなの?」
「………ええ、大好きよ」
唐突なちびうさの質問に、ふみなは僅かに驚いた表情を見せたが、すぐに微笑して肯いた。
「わたしの初恋のカレなんだ、衛クン。幼稚園の頃の話だけどね」
「ようちえん?」
三十世紀に幼稚園はなかった。ちびうさは幼稚園の意味が分からなくて聞き返したのだが、ふみなは違う風に捉えたようだった。
「おかしいでしょ? マセてたのよね、あたし。あたしたち、結婚の約束だってしてたんだから! あたしがね、衛クンに『将来、衛クンのお嫁さんになる!』って言ったのよ。そしたら彼ね、『じゃあ、ボクはふみなちゃんのお婿さんになる!』って、言ってくれたわ」
そこまで言うと、ふみなは表情を暗くした。ちびうさは、黙って彼女の次の言葉を待っていた。
「父の仕事の都合で、小学校に上がる前に引っ越しちゃったの。衛クンとはそれっきり。………でもね、大学で再会したの。ホントに偶然だった。まさか、衛クンもKO大学に入っていたなんてね。すぐに衛クンだって分かったわ。小さいときの面影が、残ってたもの。もちろん、わたしの方から声を掛けたわ。そしたら、そしたらね。衛クン、あたしの顔を見て『どなたでしたっけ?』って言ったの。ショックだったわ」
「………でも、それってもしかして」
ちびうさには思い当たることがあった。ふみなも分かっていたのか、小さく肯いた。
「小兎ちゃんも知ってるんだね。そう、彼、事故で昔の記憶を喪失( くしちゃってたのよね。あたしのことも、全然覚えてなかった。運命の再会だと思ったのに、拍子抜けってやつね」)
ふみなは肩を竦めた。
「でもね、決心したんだ、あたし。忘れちゃったんならしょうがないもんね。だったら、もう一度あたしに恋をさせてやろうって思ったの。もう一度、『ふみなちゃんのお婿さんになる』って言わせてやるってね」
ふみなは悪戯っぽく微笑んだ。
「人が誰かを好きになるのって、自由だモンね。あたしはまだスタートラインに立ったばかりで、うさぎさんや、小兎ちゃんの方が何メートルもリードしてるケド、あたし負けないわよ! ふたりに絶対に追い付いてみせるから! ライバルとして宜しくね、小兎ちゃん」
話を聞き終えたとき、ちびうさは何故か胸が躍るような気持ちになり、微笑んでいた。
「みんなは、あたしのこと『ちびうさ』って呼ぶんだ。お姉さんも、『ちびうさ』って呼んでくれていいよ」
ちびうさから見れば、ふみなも「仲間」だった。叶わないかも知れない恋に、一生懸命なふみなに、好感を抱いたと言ってもいい。
「そう、『ちびうさちゃん』かぁ。なんか、こっちの呼び方の方がしっくりくるみたいね」
「うん。あたしもそう思う」
ちびうさは笑顔で肯いた。