☆第四話☆


 アースは、キングダムの広間へと歩いていた。
「お父様ったら、一体なんのようなのかしら。わざわざ、こんな早くに起こさなくても良いのに!!」
 昨日、エリオスのところに遊びに行っていたので、寝不足なのである。
 広間の中には、重臣たちと親衛隊の四人とエンディミオン、そして、王妃と王がいた。
 アースが広間に入ると、王は厳かに話し始めた。
 「エンディミオン、アース、そして臣下たちよ。わたしは、占星術師を召すこととした。ベリルよ、出てきなさい。」
 スッと扉が開き、黒髪の女の人が入ってきた。手には杖を持ち、質素な髪飾りをつけていた。
「みなさま、初めまして。ベリル・グローズと申します。以後お見知りおきを。」
 なかなかの美人で、はっきりとした口調でしゃべっていた。
「皆の中でも、なぜ私が占星術師を呼んだのか、分からない者もいるであろう。その事情は、ベリルの口から話してもらうとする。」
 王の言葉で、一斉に皆、ベリルを見た。そんな事にもたじろぐ様子もなく、ベリルは、忌まわしい現状を話し始めた。
「一ヶ月ほど前、太陽が急に、活発に活動し始めたのです。そのことを占ってみると、なんと、こう出たのです。
“忌まわしき者が近づいている。光のふりをして近づいている。王国は火に飲み込まれ、民は闇に葬られる”と。
私はすぐに、王に申し上げようとしましたが、何者かに邪魔されてしまいました。ですので、次のチャンスまで民の様子をうかがっておりました。すると、ある知人から、恐ろしいことを聞いたのです。その話とは、人々が、エナジーを何者かに吸い取られる事件が多発している。というものでした。しかも、王の知らないところでこっそりと、だそうです。ここまで来てしまうと、もう、王に知らせないわけには行きません。その知人に頼んで(その知人は王宮づとめのものです。)王に直接申し上げました。」
あちこちから、驚きの声が聞こえてきた。まさかそんなはずは・・・という感じである。
「皆の者、信じる、信じないはお前たちの自由だ。しかし、私はこの者を信じようと思った。よいな?」
 王の言葉は、重く広場に響いた。
                     ―☆―
「ベリルさまぁ!!」
「グローズ様???」
「あねさん!!!(???)」
 ベリル・グローズは一気にキングダムの人気者となった。あの、重臣たちの前で、堂々と話したからである。それに、王国の危険をいち早く察知し、王に伝えたヒーロー(ヒロイン?)だからだ。
「ベリル様、怖くありませんでしたの?あんな、しかめつらしい顔の重臣たちの前で、あんなことをおしゃべりになって。」
 これはメイド。
「なかなか出来んことだよ、ああいう風にしゃべることは。いやはや、見直したよ。」
 これは広間にいた重臣の一人。
「今度、お茶でもしません?」
 これは大臣の息子。
「きゃは?今度でぇとしましょおよぉ??」
 これは庭師の娘。(おいおいおい!!)
「ありがとうございます、皆さん。では、少しやらなければならないことがあるので・・・。失礼しますね。」
 にっこりと微笑んだ後、黒髪をなびかせ、人垣の中から出て行った。
『やっぱり、素敵ねぇ(だなぁ)・・・?』