極北に消ゆる
救出された女子学生たちの行く末は、土萠教授を中心にしたプロジェクト・チームに委ねることになり、丸一日が経過した。
日暮隊長が半日掛けて、頭の固い上層部を説得してくれたお陰で、女子高生は隔離されるわけでもなく、今まで通り十番病院で治療されることとなった。
そんな中、当初の予定通り、衛はうさぎたちとは別行動を取ることになった。彼の四人の親衛隊の残るひとり、クンツァイトを捜すという目的のため、三条院らも日本を離れることになった。もちろん、彼らはその捜すべき相手が、ブラッディ・クルセイダースの手に堕ちた美奈子を救出するために、ロードス島に向かっていることなどは、知る由もないし、ドイツへ帰って亜美と合流しようと考えている衛も、彼女がはるかを救出するために、みちるとともにルーマニアへ渡っていることも知らない。結局のところ、彼らの行動は無駄になることになるのだが、予知能力などを持たない彼らは、この時には想像すらできなかったことである。
「ひとりで大丈夫?」
空港に衛を見送りに来たうさぎは、たったひとりでドイツへ帰るという恋人に、何故か胸騒ぎを覚えていた。不吉な予感が、脳裏から離れない。
「何を心配しているんだ? 別に危険なところへ行く訳じゃない。それより、連絡が取れない亜美が心配なんだろう? 俺が行って、確認しなくちゃな」
うさぎに気を利かせたのだろう。他のメンバーは、誰ひとりとして見送りには来なかった。うさぎひとりだけでの見送りである。
衛は不安顔のうさぎに、これ以上はないという優しい笑顔を向けた。
「うん。亜美ちゃんも気になるし、美奈子ちゃんもね………。美奈子ちゃんにはアルテミスが付いてるから、心配ないとは思うけど………」
ふたりとも事件に巻き込まれている可能性は高いと、うさぎは思っていた。実際、美奈子は既に“毛むくじゃら”と遭遇しているらしい。彼女の性格からして、何の行動も起こさないとは考え辛かった。単独で動いているだろうことは、容易に想像ができる。また、亜美のいるドイツでも、ブラッディ・クルセイダースは暗躍しているに違いない。日本で倒したお里のチームと、衛のドイツで戦っていた相手だったのだ。お里とは別のチームがいてもおかしくはないし、彼女のチームが日本に来たのだから、入れ替わりに別のチームがドイツ入りした可能性は非常に高かった。事件が起こったとしたら、亜美が黙って見過ごすとは思えない。また、はるかとみちるの動向も、うさぎには気懸かりだった。ヨーロッパであれだけの事件が起きていれば、彼女たちの耳に入らないわけがない。彼女たちは彼女たちなりに行動を起こしているだろうとは思うのだが、全く連絡が取れないと言うことが、ひどく気に掛かっていた。
「亜美と合流できたら、フランスへ行ってみる。既にやつらと遭遇している美奈たちが気懸かりだしな。彼女たちと合流できたら、また日本に帰ってくるよ」
恋人に余計な心配を掛けさせないように、衛は努めて笑顔を作った。
「きっとだよ」
不安を拭い切れぬまま、うさぎは笑みを返した。暗い表情のまま、恋人を送り出すわけにはいかなかった。
「じゃあ、行って来る。ドイツのアパートに着いたら連絡する。それと………」
そこまで言って、衛は一呼吸置いた。
「操のことを頼む。性格に少々難はあるが、根はいい子だから………」
「分かってる」
ブラッディ・クルセイダースによって両親を失った前世での妹のことが、衛は気懸かりだった。日本で身寄りのない彼女は、取り敢えず土萠教授の元で、ほたると共に生活することになっている。
「いってらっしゃい」
「ああ」
うさぎに見送られ、衛はドイツへと渡った。一抹の不安を心に抱きながら、うさぎは衛の背中を見送った。
「さて、俺たちも本格的にクンツァイトを捜さなくてはな」
ふたりの邪魔をしないようにと離れた位置で衛を見送った三条院は、共に見送った大道寺と美園に言った。
「俺の掴んだ情報では、やつはフランスへ行ったらしい」
大道寺が答える。
「フランスへ?」
三条院は一瞬眉を顰めたが、すぐに合点がいった様子で、
「ああ。愛野美奈子のところへ行ったのか………」
前世ではふたりは恋人同士だった。(と、彼らは思っている。)ならば、クンツァイトがフランスへ行ったことも頷ける。
「偶然か、それとも必然か………。本人に会ってみなければ分からんな」
大道寺は、クンツァイトが覚醒している可能性をは低いだろうと付け加えた。
「そうか………。ならば俺と美園でフランスへ行ってみよう。お前は日本に残ってくれ。行き違えになるかもしれんしな」
「ああ。そうさせてもらう。まだ、やらなければならないことも残っているしな………」
「例の依頼の事ね?」
美園が問う。大道寺は頷く。
「ブラッディ・クルセイダースと絡んでいることが分かっているからな。ほおっておくわけにもいかない」
大道寺は、自分に来た依頼の内容を頭に描いていた。確かに、この件をそのままにして日本を離れるわけにはいかなかった。
「マスターがドイツへ到着したことを確認してから、俺たちは動くとしよう。どうも、胸騒ぎがする」
「あなたのその予感は、よく当たるものね。三条院………」
茶化したような言い方をする美園だったが、表情は真剣だった。衛の親衛隊である彼らも、うさぎと同じような胸騒ぎを感じていたのである。そして、美園が言うとおり、三条院の悪い予感はよく当たるのだ。
「何か情報は掴めたかい?」
パーラー”クラウン”でのアルバイトの帰り、まことは司令室に立ち寄った。ここのところ、ルナが司令室に籠もりっぱなしだとうさぎに聞いていたから、様子を見に寄ってみたのである。
「ああ………。まこちゃん………」
ルナは、司令室へと入ってきたまことに、気怠そうな視線を向けた。うとうとと居眠りをしていたのだろう。人の姿でいると余計なパワーを消費するらしく、最近のルナはネコの姿でいるときの方が多い。
「アポロンは?」
「もなかのところよ」
司令室にアポロンの姿がないことが、まことには納得がいかなかった。アポロンはアルテミスとは違い、あまり事務的な作業はしたがらない。結果的に、ルナにばかり負担が掛かってしまうのである。
「あれから、どこにも敵は姿を見せてないし、そんなに慌てる必要はないんだからね」
その表情にありありと疲労が浮かんでいるルナに、まことは言ってやった。
飛び去った浮遊戦艦の行方を捜すことは当然なのだが、こうも手掛かりがないのでは、実際お手上げである。敵が動き出してくれるのを待つしかないのが現状だった。
(セントルイス………。あんたが、あたしたちの側に付いてくれたら………)
まことは、ブラッディ・クルセイダースの本拠地島で出会った十三人衆のひとりのことを思い出していた。彼は、確かに組織に反発しているように感じられた。彼が味方に付いてくれれば、心強いだろうとさえ考えていたが、彼が既に殺されてしまっていることを、まことは知らなかった。
「なびきは大丈夫なの?」
ルナが訊いてきた。
「自宅療養中。しばらく戦いには参加できそうにない」
まことは俯きながら答えた。
浮遊戦艦の攻撃からセーラームーンたちを守ったギャラクシアは、かなりの深手を負ってしまった。サターンとタキシード仮面の治癒能力によって、大分回復はしているものの、まだ激しい戦闘はできないと思われた。
「衛さんも、今日ドイツに戻った。せつなさんもNASAに行ってしまったから、これでギャラクシアが戦えないとなると、かなりきついな………」
フォボスとディモス、そして操という新戦力は加わったが、戦闘能力的に考えれば、離脱してしまった者たちには到底及ばなかった。戦いが激化するであろう今後のことを考えると、不安材料ばかりが目に付く。
「ほんのしばらくの間でいいから、ブラッディ・クルセイダース、大人しくしてくれると助かるんだけどな………」
そのまことの呟きは、矛盾していた。
うさぎはニュースを見ていた。見ようと思って見ていたわけではない。テレビのスイッチを入れたら、たまたまニュースをやっていたというだけだ。
ジャンボジェット機の墜落のニュースだった。不謹慎だとは思いながらも、うさぎはその好奇心のあまり、チャンネルを変えることはしなかった。
一家団欒の時間だった。夕食を終えたばかりで、皆、リビングでしばし食後の落ち着いた時間を過ごそうと考えていた。父親の謙之はソファーに腰を下ろし、経済新聞に目を通していた。母親の育子は、謙之と向かい合わせにソファーに腰を落ち着かせ、読書を始めていた。そしてうさぎは、弟の進悟と対戦格闘もののゲームをするために、テレビのスイッチを入れたのだ。
墜落したジャンボジェット機は、ベルリンのシェーネフェルト空港行きの便だった。男性アナウンサーが、ゆっくりとした口調で便名を読み上げている。
「まもちゃんの乗った飛行機だ」
その自分の呟きの意味を理解するまで、うさぎ自身、しばらくの時間が必要だった。その言葉の意味に気付いたのは、隣にいた進悟の方が先だった。進悟は表情を凍り付かせて、姉の顔を見つめていた。
「姉貴、今、何て言った?」
その進悟の言葉で、うさぎは自分が先程何気なしに呟いた言葉の意味を理解していた。
「まもちゃんの乗った飛行機が墜ちちゃった………。ママ、まもちゃんの飛行機が………」
困惑した表情のまま、うさぎは背後の母親に振り向いた。隣にいた進悟は、表情を凍り付かせていた。視線をテレビの画面から放すことができなかった。
育子も、今日娘が恋人の見送りに成田空港へ行ったことを知っていた。だから、どう答えたらいいのか、分からなかった。分からないまま、娘の顔をただ見つめるしかなかった。
「ママ、ママ! どうしよう………!」
「落ち着きなさい、うさぎ」
困惑からパニックに発展しそうな娘に、父親の謙之が声を掛けた。
うさぎが涙を一杯に溜めた瞳で謙之の方に目を向けると、父親は電話の子機をテーブルに置いたところだった。
「今、パパの会社と連絡を取った。会社には、まだ詳しい情報は入ってきていないようだ」
謙之は雑誌編集部に勤めている。社会人をターゲットとした情報誌である。うさぎにとっては興味の沸かない雑誌ではあるが、亜美や衛が愛読している雑誌である。
「取材という名目だが、現地に向かうことが許可された。今から行って来る」
謙之はゆっくりと娘に歩み寄ると、力強く肩を抱きしめた。
「大丈夫。衛君はきっと無事だ。彼はパパに、うさぎを幸せにすると約束をした。彼が約束を破るような人物でないことは、うさぎが一番知っているだろう?」
父の言葉に、うさぎは無言で頷く。
「パパが必ず衛君を連れて帰る。心配しないで、待っているんだ。いいね?」
「うん………」
娘の返事を確かめると、謙之は育子に視線を移した。
「行って来る。うさぎを頼む」
そう言った後、謙之は慌ただしく出発していった。
だが翌日、陽も昇りきらない時刻に鳴り響いた電話のベルが、月野家に更なる不幸を告げる予兆となった。
うさぎはまだ夢の中にいた。衛を連れて帰るという父親の言葉を信じ、ベッドに潜り込んだ彼女だったが、いつの間にか眠ってしまっていた。父親から連絡が入るまで、眠らないつもりだったが、ベッドに横になったのが災いしたのだ。
もし、この時、月野家にルナがいたならば、別の行動を取っていたかもしれなかった。衛の乗ったジャンボジェット機墜落の事件を知った仲間が、調査のために現地に急行していたことだろう。もしかしたら、この時点でうさぎも現地に向かったかもしれなかった。しかし、残念ながら、この晩ルナは月野家にはいなかった。司令室で浮遊戦艦の行方を調査していたのである。うさぎひとりでは、判断しかねる問題だった。もとより、混乱していた彼女が仲間を頼るなぞ、その時は想像すらしていなかった。仲間の存在すら忘れていたのである。
その晩、うさぎたちが行動を起こさなかったことが、結果的に月野家に更なる不幸を招いてしまったのだ。
謙之の上司から掛かってきたその電話は、謙之が現地で消息を絶ったという知らせだった。
「ママは?」
「リビング」
父親が現地で消息を絶ったという知らせを受けてから、一時間が過ぎようとしていた。間もなく、一般の家庭も活動を始めようかという時間だった。ニュースを見れば、恐らく仲間たちも、月野家を襲った突然の不幸を知ることになるだろう。
リビングで子機をぼんやりと見つめている母親の背中を見つめた後、うさぎは進悟に話し掛けた。
「ごめん、進悟。しばらく家を空けるわ」
「………」
自分を見つめる姉の瞳に、進悟はある予感を感じて、無言で見つめ返した。父親の不幸が、奇しくもうさぎに平静さを取り戻させていた。恋人の突然の不幸に、困惑していた姉の姿はそこにはなかった。
「ママをお願いね」
家を空ける理由を、うさぎは語らない。こんな状態の時に家を空けるなど、普通なら考えられないことではあるが、進悟は納得した。今までの自分なら、この姉の非常識な行動を、絶対に許さなかっただろうと思う。何故だと突っかかるに違いなかった。
「分かった」
しかし、進悟は頷いた。非常識な姉の行動を、素直に受け止めた。
何も訊かないことが、弟である自分の務めであると感じた。
玄関へと向かっていく姉の背中を見つめながら、
「パパを、必ず見つけてきてよ………。姉貴( ………」)
小さな声で呟いた。その声が、姉に届くことを、僅かに心に抱きながら………。
うさぎは玄関を出た。
「?」
門のところに人が立っていた。
三条院と美園だった。
「その様子だと、ニュースを見ているわね………?」
美園の断定的な問い掛けに、うさぎは無言で頷いた。
「取材に向かったパパも、行方不明だって………」
「そう………。幾つかの取材チームが、現地に到着した直後に消息を絶ったって言ってたけど、その中に、あなたのお父さんもいるのね………」
美園の口調は柔らかかった。
「この飛行機事故は不可解すぎる」
三条院が口を開いた。いきなりの核心を突いた言葉だったが、うさぎは驚かなかった。
「ブラッディ・クルセイダースの動きが活発すぎて、今まで目立たなかったようだが、今回と同じような事故が、ここのところ世界各地で続いているようだ」
「偶然ではないと言いたいんですね?」
「そうだ………」
うさぎの言葉に、三条院は僅かに安堵の笑みを浮かべたようだった。うさぎの判断力が低下していないことを知り、安心したためだと感じられた。
「我々は、現地に行こうと思う」
「ふたりで?」
「大道寺はまだ、日本でやることが残っている」
「あたしも行くわ」
うさぎは三条院を見つめた。
「だから、俺たちもここにいる」
三条院の言葉は、暗にうさぎを誘いに来たと告げていた。
「みんなには、知らせないの?」
美園の質問に、うさぎは首を横に振った。
「あたしの独断行動に、みんなを巻き込むわけにはいかないわ」
レイやまことが訊いたら、きっと「水臭い」と言って怒るだろうと思いながらも、うさぎは誰にも知らせずに出発することを決めていた。
「さあ、行こう。マスターの捜索を手伝ってくれ」
三条院の言葉に、うさぎは頷いて見せた。
レイやまことたちが、うさぎの単独行動に気付いたのは、その日の昼近くになってからだった。情報収集のために、ルナが司令室のテレビのスイッチを入れたとき、事件を知った。ルナだけが、衛の乗る飛行機を知っていたのだ。他の仲間たちは、事件のことは知っていたが、まさかその飛行機に衛が乗っていたとは、誰も予想していなかった。ましてや、その後現地に派遣され、直後に消息不明となった取材団の中に、うさぎの父の謙之が含まれているとは、想像すらできなかったことである。
「うさぎは現地に向かったと思う」
司令室に集まった仲間たちに、レイは言った。
「ひとりで行ったって言うの!?」
夏恋は大きくかぶりを振る。まことは椅子に腰を下ろしたまま、祈るような格好で、項垂れていた。
「言ってくれれば、あたしも付いていったのに………」
衛の前世での妹、操にしてみれば、心境はうさぎと同じだった。許されるなら、自分も今すぐ現地に飛んでいきたい思いだった。
「うさぎさん、水臭いです………」
ほたるがぽつりと言った。もなかも頷く。誰もが同じ気持ちだった。負傷のため、自宅待機のなびきも、きっと同じ気持ちだろうと考えられる。
「行っちまったものはどうしようもない。場所は分かってるんだ。気になるなら、ふたりばかり後を追うか?」
兵藤が「ふたり」と限定したのは、日本に残る戦力を極力多くしたいからなのだ。プルートとギャラクシアを欠き、セーラームーンとタキシード仮面も離脱した。その上、セーラームーンを追わせるために、人数を裂くことはできない。ブラッディ・クルセイダースの出方が分からない以上、こちら側もできるだけ万全な状態でいなければならないのだ。
「その必要はないな………」
不意に声がした。司令室の入り口に、大道寺が突っ立っている。
「どういうことですか?」
レイが尋ねる。
「プリンセスには、三条院と美園が付いている。心配はいらない」
「ネフライトとゾイサイトが?」
「マスターの捜索と、今回の事件は、ひとまず三人に任せておけばいい。手に余るようだったら、向こうから連絡が入る。キミたちは、その後で対策を考えればいい」
「うさぎを誘ったのは、あんたたちか?」
訊いてきたのは、まことだった。口調からは憤りが感じられた。
「結果的にはな………」
大道寺は答える。まことの憤りが分かったから、余計な言い訳はしなかった。度を過ぎた言い訳は、まことの神経を逆撫ですると考えたからだ。
「誘われなくても、うさぎは行ったわよ」
まことを宥めるように、レイは言った。確かに、結果としてそうなっただけで、うさぎは誘われなくても現地に向かっただろうと推測できる。うさぎはそういう女の子なのだ。
「ならば、結論は出たな」
アポロンが言った。
その時、通信機がコールサインを出した。緊急のコールサインだ。
「俺だ!」
野太い声がスピーカーから流れる。自衛隊の日暮隊長の声だ。緊急時用として、彼にも専用の通信機を持たせていた。その通信機を使ったらしい。
「女の子たちが暴れ出した! すぐに来てくれ!」
緊迫したその声から、ただならぬ事態が起こっていることは、用意に推測できた。
日暮隊長は細かい説明を一切省いていた。だが、「女の子たち」と言えば、十番病院に収容されている学生たち以外は考えられなかった。
「夏恋さん!」
ルナが夏恋を病院に向かわせようと、彼女を呼んだと同時だった。激しい揺れが司令室を襲った。
「何だ!? この揺れは!?」
兵藤が喚く。
「あたしが調べるわ! みんなは行って!!」
ルナは全員に、出動するように促す。もはや人選をしている余裕はなかった。とにかく、全員を出動させる必要があると判断した。
「アポロン!」
ルナはアポロンにも同様に視線を送る。セーラーサンには、まだアポロンのサポートが必要なのだ。
アポロンは頷き、彼女たちの後を追って、司令室を飛び出していった。