悪霊の魔女
夏の強い陽差しが照りつける中、亜美は並木道を友人と駅に向かって歩いていた。日本より緯度が高いせいもあって、ドイツの夏は日本ほど熱くない。湿気が少ないため、日本独特の肌にまとわりつく暑さもなかった。と言っても、夏を感じさせる太陽は、地球上のどこにいても同じような感じがした。
梅雨のないドイツは日本とは違い、いきなり夏になる。気が付いたときには、もう夏になっていた。夏の前のじめじめとした梅雨が、なぜか懐かしく感じてしまうのは、自分が日本人だからなのだろうと思う。夏が来るという、気持ちの準備をするためには、日本の梅雨は貴重だとさえ感じた。ふと、日本のことが恋しくなるのも、自分がホームシック気味になっている証拠だと、亜美はひとり、自嘲気味に苦笑した。
「アミはボーイフレンドはいないの?」
唐突に質問された亜美は、思わず足を止め、ドギマギして友人のカーサを見てしまった。友人と一緒にいることを忘れ、つい物思いに耽ってしまっていたため、無防備な状態で苦手な質問をされてしまったために、対応に戸惑ってしまったのだ。
亜美の驚きように、カーサはクスリと笑ってから、
「あたし、そんなヘンなこと訊いた?」
答えに困っている亜美を見つめ返した。
「………だって、突然そんなこと訊くから………」
ほんのりと頬を赤らめ、亜美は照れたように笑うと、街路樹の梢にとまる小鳥に目をやった。
もちろん、照れ隠しである。ボーイフレンド───女子高生風に言うならば、カレシと呼べる
ほどの異性の友人との出会いは、亜美は今のところ皆無と言えた。もっとも、仲間内で異性と堂々とつき合っているのは、うさぎぐらいなものだ。男嫌いのレイは、恋人を持つ気も全くないようだし、恋い多き美奈子とまことは、決まった男性とつき合っているという話は聞かない。戦いに明け暮れていたために、カレシなど作る暇がなかったというのが、ふたりの意見だったし、言い訳でもあった。
亜美の留学先の大学は、ブレーメンの中心からやや南東のヴェーザー川のよく見える小高い丘の上にあった。大学のすぐ近くには、古ぼけたどこぞの貴族の城が放置されたままになっており、地元ではヴァンパイア城などと噂されているらしい。確かに言われてみればそれらしく見えるし、雰囲気もドラキュラの映画に出てくる古城そのものだった。人が住んでいないはずなのに、時折窓に明かりが見えることから、いつしかヴァンパイアが住み着いているのではと噂されるようになった城である。その風貌のあまりの不気味さゆえ、人も殆ど寄り付かない。日本風に言えば、いわゆる幽霊城と言うやつである。
大学から駅までは、徒歩で約十五分ほどかかる。既に夏期休業に入っているのだが、友人のカーサに付き合って、亜美は大学の研究室に通っていた。
本来ならハイスクールの亜美が大学の医学部で学ぶのは、異例中の異例である。彼女の天才的な学力が既にハイスクールレベルを越えていると判断されたためでもあるが、彼女のその特異と言える能力を、大学では快く思わない者たちもいた。そんな中で、カーサは数少ない心を許せる友人であり、人生の先輩でもあった。
カーサはいわゆる普通の女の子だった。取り立てて目立つ存在でもない変わりに、非常に広い交友関係を持っていた。広く浅く付き合うというのが彼女のモットーらしく、そんな彼女の友人たちの中では、亜美は特別に親しい方だった。亜美より二つほど年上の彼女だったが、特別にお姉さん気取りではないと感じるのは、亜美も日本の文化に慣れすぎているからだろう。年上がそれ相応に気取るのは、日本ぐらいだと感じる。
「ゴメンね、付き合わせちゃって」
自分の用事のために、研究にはあまり関係のない亜美を付き合わせてしまったことを、カーサは幾分心苦しく思っていた。
「いいのよ。自分のためにもなるし………」
亜美は答えたが、カーサの研究は医学とは無縁のものだった。カーサは科学者の卵なのだ。
「ニホンには帰らないの?」
「ええ。ドイツでやりたいことがあるから、その予定はないわ」
はるかとみちるのふたりと協力して、ドイツで起こっている謎の失踪事件のことを調べることになっている亜美は、夏期休暇中であっても日本には帰らないと決めていた。既に母親にもそう連絡してある。もちろん、医学の勉強のためという名目である。
はるかの話では、ドイツで起こっている失踪事件は、フランスで起こっている事件と何か関連があるらしい。ブラッディ・クルセイダースという組織で、既にフランスでは美奈子が一戦交えているという。はるかは同一の組織の仕業ではないかと推測していた。
それに、行方が分からない衛のことも気掛かりだった。事件に巻き込まれている可能性があると思い、夕べうさぎに衛のことで電話をした。衛からうさぎには何の連絡も入ってはいないらしく、念のため再度確認したが、ハンブルグの衛のアパートには、やはり彼は戻ってきてはいなかった。
衛のアパートの隣人のカールも、肩を竦めていた。カールの話では、衛は日本に行くと言っていたらしいが、うさぎに連絡していないというのも気になる。衛は、単独で何かを掴んでいる可能性が高い。
「………ミ、アミ!」
自分を呼ぶカーサの声で、亜美はハッとなった。
「どうしたの? ボーッとしちゃって………。さっきからヘンよ。何か悩み事?」
カーサは心配そうに、亜美の顔を覗き込むようにして見た。
「ううん。なんでもないわ」
答える亜美は、どことなくぎこちない。
「そう………。なら、いいんだけど………」
あまり問い詰めるのもよくないと思ったのか、カーサはそれ以上何も訊いてはこなかった。横を歩く、亜美の物憂げな表情をチラリと盗み見てから、亜美に分からないように小さく息を付いた。
「あら?」
ふと、前方を見やったカーサは、ふらふらと夢遊病者のように歩いてくる人影を見つけて、声をあげた。通行人が殆どいないこの並木道では、その様子は異様に目立った。
亜美も顔を上げ、前方に視線を向けた。女性である。
ふらふらと頼りなげに歩いてきたその女性は、崩れるようにその場に倒れてしまった。
「たいへん!!」
亜美とカーサは慌てて走り寄り、倒れた女性を抱き起こす。
「………あなた、サマンサじゃないの!? どうしたのよ!? 二週間も顔を見せないと思ったら、こんなにやつれて………」
カーサは意識の朦朧としているらしいサマンサの体を抱いて、おろおろとしている。亜美もその名には聞き覚えがあった。
「サマンサって、この間話してた………?」
「そうよ。二週間前に、ふっといなくなっちゃったのよ。御両親から、警察に捜索願いも出てるわ。………サマンサ、しっかりして! あたしが分かる!?」
カーサはサマンサの肩を、必死に揺り動かす。
「………カ、カーサ?」
サマンサは、ようやく自分を抱き起こしてくれている人物がだれなのか分かったようだった。ひどく掠れた声で、カーサの名を呼んだ。
「あ、あたし………」
そして、突然震えだした。
「あたし、とても怖い思いをしたの………。あたしだけじゃないわ。たくさんの女の子たちが捕まっていた………」
「捕まってるって、どういうこと!? サマンサ!?」
カーサは叫ぶように訊く。………と、
リ、リ………ン。リ、リ………ン。
どこからともなく、澄んだ鈴の音が響いてきた。気高く、神秘的なまでの音色だった。心に染みわたるような音色。しかし、それでいて、どこか寂しげな響きを持っていた。
「鈴の音?」
亜美は立ち上がり、耳を澄ました。それは音ではあるのだが、微妙な違和感があった。もっと、直接的に聞こえてくるのだ。まるで、テレパシーのように………。
リ、リ………ン。リ、リ………ン。
「あ! いや!!」
突然サマンサが、両耳を塞いで怯えたように叫んだ。
「やだ!! 来ないで!!」
狂ったように頭を振り、身を強張らせる。
「どうしたの!? サマンサ! 何が来るの!? 何にそんなに怯えているの!?」
カーサは辺りを見回したが、心配そうに集まってきた通行人の他には、サマンサがこれ程までに怯える原因となるものが見当たらない。しかし、サマンサは半狂乱になって泣き叫んでいる。この怯え様は、尋常ではない。
リ、リ………ン。リ、リ………ン。
鈴の音は、一段と強くなった。
「なんだろう?」
通行人の中の若い男性も、鈴の音に気付いた。やがて、周囲の人々も鈴の音を聞いていた。
「来ないでぇ!!」
サマンサはカーサの手を振り解き、人垣を掻き分けて走り出す。
「待ちなさい! サマンサ!!」
カーサはサマンサを追う。
リリリリリン!
鈴の音色が変わった。
同時に、走っていたサマンサがまるで電撃でも浴びたかのように硬直した。
「サマンサ!!」
走り寄ろうとしたカーサだったが、サマンサの周囲に出現した見えない壁によって、弾き飛ばされてしまった。
サマンサの周囲の空気が揺らいだ。形を取り、渦を巻きだした。
「悪霊!?」
亜美の目には、異様な物体が浮遊している姿が映っていた。亜美だけではない。カーサも、そして周囲の人々も、その渦を巻いている物体を目で見ていた。
もし、亜美の直感通り悪霊だとしたら、よほど強い霊力を持っているのだろう。肉眼でも、その姿をはっきりと確認できるほどなのだ。霊感の強くない亜美でさえ、その姿が見て取れるのだ。
肌が泡立ち、全身が総毛立った。
「なんて、妖気なの!?」
本能的に身の危険を感じた亜美の体は、震えが止まらなくなった。膝がガクガクと震えている。立っているのがやっとだった。無性に不安な気持ちになる。こんなことは初めてだった。今までどんな強敵に会おうとも、このような不安な気持ちになることはなかった。気持ちのどこかで、必ず勝てるという思いがあった。だが、今は違う。亜美の本能が、今の自分の力では勝てない相手を警戒し、危険信号を発している。意識下で怯えている。
「なんだ!? どうしたんだ!?」
「何が起こっているの!?」
周囲の人々も、パニックになり始めていた。
「カーサ! 逃げた方がいいわ! ここにいては、危険よ!!」
「でも、サマンサが!!」
指を差した、カーサの表情が強張った。目を見開いたまま、声も出ない。
「!?」
視線を向けた亜美も、我が目を疑った。
悪霊たちを身に纏い、鬼の形相と化したサマンサが、そこにいたのである。瞳は不気味なまでの赤い輝きを放ち、牙を剥き出しにし、涎を滴らせながらこちらを睨んでいた。
「サ、サマンサ………!?」
カーサはやっとのことで声を出したが、体は金縛りにあったかのように動かない。蛇に睨まれた蛙のように、体が硬直してしまっている。
男性であったならば、カーサを抱き抱えてでもこの場から脱出を計ったのだろうが、亜美にはそんな力はない。ましてや、亜美自身、足が竦んでしまっている。
「ガアァァァ!!」
サマンサが野太い声で吠えると、彼女の周囲で渦を巻いていた悪霊たちが、一斉に人々に襲いかかった。
亜美は咄嗟に周囲に結界を張ったが、変身していない今の状態では、自分とカーサのふたり分のスペースを作るのが精一杯であった。とても、まわりの人々までは包みきれない。
人々は逃げまどったが、次々に悪霊に取り憑かれていってしまう。まるで、悪夢でも見ているような光景だった。
悪霊に取り憑かれた人々は、更に他の通行人にも襲いかかる。
亜美の張った結界の中にいたカーサの意識が、プツッと途切れた。見るに耐えない光景を目の当たりにしてしまったがために、自らヒューズを飛ばしたのだ。
必死に結界を張って、悪霊の侵入を防いでいる亜美も、とても逃げ出せる状態ではない。今、結界を解いてしまっては、ふたりとも悪霊の餌食となってしまう。
変身をしたくても、結界を張ったままではそれもできない。変身をするためには、結界を解かなくてはならないのだ。結界を一度解き放ち、変身するためにパワーを集中しなくてはならない。しかし、この状態のままでは、いずれ亜美の体力が尽きてしまう。
だしぬけに、辺りの光景が変わった。
氷の結晶が、嵐のように巻き起こる。
悪霊たちの動きが鈍った。それにつれて、悪霊に取り憑かれた人々の動作も鈍くなる。
「亜美! いまよ!!」
声の主を確かめる必要などなかった。自分と同系列の技を得意としているのは、仲間の中では彼女しかいない。
亜美は結界を解くと、右手を翳し、
「マーキュリー・クリスタル・パワー・メイクアップ!」
変身の呪文を唱えると、セーラーマーキュリーへと変身する。
その横に、氷の結晶───シャイン・スノー・イリョージョンを放ったセーラーネプチュー
ンが並んだ。
「待たせたわね………。マーキュリー、この場を切り抜けるわよ!!」
言うや否や、ネプチューンは前方に陣取っている悪霊を纏った女性───サマンサ目掛けてディープ・サプマージを放った。
「ネプチューン(みちるさん)、彼女は………!!」
「分かってるわ!! でも、手加減をしていては、あたしたちの方が危ないわ!!」
ネプチューンは技を放ったと同時に、前方にダッシュする。
マーキュリーは、再び活発に動き出した悪霊たちからカーサを守るため、聖なる力を持つ気泡───シャボン・ボールで彼女を包み込む。この気泡の中にいれば、カーサは悪霊に取り
憑かれることはない。結界を張り巡らすという手もあったのだが、それではマーキュリー自身がカーサのもとを動けなくなってしまう。ネプチューンのサポートができなくなってしまうのだ。カーサのもとを離れるのは気掛かりだったが、この状況を打開するためにはやむを得ないことであった。
悪霊がネプチューンを標的にした。一斉にネプチューンに突進してくる。
ネプチューンはガードをしたが、勢いに押されて跳ね飛ばされてしまった。
「ネプチューン(みちるさん)!!」
マーキュリーは、ハープを実体化させた。
「マーキュリー・アクア・ラプソディー!!」
マーキュリー・ハープの神聖な音色が周囲に響き渡ると、悪霊たちは悶え苦しみだし、低級のものは消滅していった。
人々に取り憑いていた悪霊たちも、たまらず人から離れる。
「アクア・ミラー・リフレッシュ!!」
タリスマン・ディープ・アクア・ミラーを使ったネプチューンの浄化技が、追い打ちをかけるように炸裂する。
周囲に浮遊していた悪霊たちは、ふたりの連携技を受け、たちまち無へと帰っていった。
「………わたしの可愛い子供たちを一瞬のうちに浄化するとは、お前たちは何者か?」
周囲の空気が僅かに歪んだかと思うと、次の瞬間には、悪霊を纏ったままのサマンサの前方に、絶世の美女が出現した。
一息付く間もなく、ネプチューンとマーキュリーのふたりは、声の聞こえてきた方向に視線を流した。
透き通るような白い肌に、ルビーの輝きを持つ瞳を持ち、きらびやかなゴールドの髪をなびかせている絶世の美女が、妖艶な笑みを浮かべながらこちらを見据えている。西洋の魔法使いを思わせるそのローブは、漆黒の闇の色をしていた。ローブの胸の部分には、血の色を連想させる不気味な赤色で、奇怪な蝙蝠の紋章が描かれていた。
「ブラッディ・クルセイダースじゃない!?」
胸に描かれている紋章は、ネプチューンの知っているブラッディ・クルセイダースの血の色をした十字架ではなかった。
「ブラッディ・クルセイダース? そう………。最近、あの忌々しい組織を邪魔しているという輩がいるって聞いたけど、お前たちのことだったのか………」
魔法使いのような美女は、再び妖艶な笑みを浮かべた。
「お前は、ブラッディ・クルセイダースじゃないの!?」
「違うわよ………。わたしは、あんな邪教の集団の一員じゃないわ。誇り高き種族の一員ですもの………」
「誇り高き種族………!?」
「わたしの坊やたちを消滅させたご褒美に、わたしの名前だけは教えてあげる………。わたしは、パデュリー。誇り高き一族の血を受け継ぎし者………」
「誇り高き一族………」
ネプチューンは反芻する。
「あなたも、あいつらの仲間なのね………!」
ネプチューンは断定時に叫んでいた。突然目の色が変わった。憎しみの籠もった瞳だ。ネプチューンは何かを知っている。マーキュリーはそう感じていた。
「お喋りタイムは終わりにしましょう………」
パデュリーは、両手を頭上に翳した。ローブが翻る。周囲に再び悪霊たちが出現し、そして渦を巻いた。
パデュリーの背後のサマンサは、じっとしていて動かない。
「お前たちは目障りだ。死んでおしまい!」
パデュリーのルビーの如き両目が、不気味に輝いた。
「! いけない!!」
咄嗟にネプチューンは、横にいたマーキュリーを抱えるようにして、後方に飛び退いた。更に、街路樹の陰に身を隠す。
轟音が轟いた。
周囲の空気が震えた。
爆風が、街路樹を薙ぎ倒した。陰に身を隠していたふたりごと、街路樹は宙に舞う。
シャボン・ボールに包まれたまま、気を失っているカーサはあらぬ方向に吹き飛ばされる。悪霊から解放されて、地面に倒れていた人々も例外ではなかった。新たな通行人を巻き添えにして、爆風の煽りを受けて宙に舞う。
爆風に飛ばされたネプチューンとマーキュリーは、空中で体勢を立て直した。すかさず反撃に転じた。
マーキュリーがシャボン・スプレーで敵の目くらましをし、更に水蜃気楼(マーキュリー・アクア・ミラージュ)で攻撃を加えると、ネプチューンは深海提琴潮流(サブマリン・ヴィオロンタイド)で追加攻撃をする。
「ちぃぃぃっ!!」
悪霊たちを使ってふたりの攻撃をシールドすると、パデュリーも反撃してきた。
マーキュリー、ネプチューンのふたりは、上空にジャンプして攻撃を躱した。
「行くわよ! マーキュリー(あみ)!!」
「はい!!」
ふたりはシンクロし、呼吸を合わせる。
「ディープ・アクア・セレナーデ!!」
リンク技が炸裂する。同系列の技を得意とするふたりがリンクすれば、すさまじいまでの水流が津波の如くパデュリーを飲み込む。
「くうぅぅぅ!!」
辛うじて水流から脱したパデュリーは、たまらず後退する。
悪霊を纏ったサマンサが、それを追うようにジャンプした。
「逃がすもんですか!!」
マーキュリーは気合いを込める。ここは一気に攻め立てる場面だ。聖なる水流が、マーキュリーの周囲で渦を巻いた。竜巻のように上空に上り詰める。
「待って、マーキュリー(あみ)!!」
「え!?」
意外なネプチューンの制止だった。
マーキュリーは一瞬気を緩めた。その隙をついて、パデュリーはサマンサを連れ宙空に消えた。
「ネプチューン(みちるさん)、なぜ………!?」
「ゴメン、マーキュリー(あみ)。はるかを救出するためなの………」
ネプチューンの口から出た言葉はあまりにも意外すぎて、マーキュリーが一瞬その言葉の意味が理解できないほどだった。