クリスタル・パレスは、間もなく迎えることになる悲劇とはまるで無縁なほど、和やかであり、穏やかだった。
 セーラーマーズとなったレイは、自らの記憶の底に封じていた前世の欠片をひとつずつ拾い集めながら、光沢の美しいパレスの床に足音を響かせていた。
 あまり長居をするわけにはいかない。どこでひょっこりと、前世のマーズ(じぶん)に出会してしまうともかぎらない。一歩足を踏み出すごとに、緊張で心臓の鼓動が早くなっていく。時々大きく深呼吸をしなければ、胸が張り裂けてしまいそうなほどだ。喉もカラカラに乾いてしまっている。出たこと勝負の美奈子なら、あっけらかんと大胆に行動するのだろうが、生憎と自分はあそこまで無神経でもノーテンキではない。こういう役目は、美奈子の方が適任だと一瞬だけ思ったが、すぐにその安易な考えは全面的に否定された。美奈子の場合、いつボロが出てもおかしくないので、別の意味で胸が張り裂けんばかりに不安な気持ちになったことだろう。やはり、自分が来て正解だった。それに、美奈子はカレシと旅行に行ってしまっている。何も知らず、現地でカレシとラブラブな状態の美奈子(ばか)の顔を思い浮かべたら腹が立つのと同時に、気分が少し楽になった。
「あんた、役に立ったわよ」
 呟いてクスリと笑ったとき、その馬鹿と目が合った。いや、美奈子(ばか)ではない前世のヴィーナスの方だ。
「どうしたの、ニヤニヤして? 気持ち悪いよ」
 感じたままに遠慮なくズケズケ物を言うこいつの性格は、前世からのことだったらしい。レイは少しムッとしたが、この場は(こら)えることにした。いざこざを起こして騒ぎにでもなったら、前世のマーズがこの場に来てしまうかもしれない。それは非常にマズイ。
「ちょ、ちょっと思い出し笑いよ」
「ふぅ〜〜〜ん」
 ヴィーナスは物色するような目を向けてくる。バレたかと、ヒヤヒヤものだ。
「アレ? そう言えば、マーズは中庭でプリンセスと一緒だったような気が……」
「え!? そ、そうだったっけ!?」
「ま、いっか」
 ヴィーナスは深くは追求してこない。こういうずぼらなところも、美奈子とよく似ている。
「亜美ちゃ……。マーキュリーは部屋にいるわよね?」
 レイは取り繕うように笑いながら訊いた。
「いると思うよ。何か調べ物があるとか言ってたから」
「そう、ありがとう」
 マーズは礼を言って、早々にこの場から立ち去ろうとする。
「あ、そうそうマーズ」
「え!?」
 ビクリとして、レイは立ち止まった。
「例の件、相談したいことがあるから、あとであたしの部屋に来てくれる?」
「あ、うん分かっ……」
 途中まで言い掛けて、レイは修正した。
「ゴメン。悪いけど、あたしの部屋の方に来てくれない?」
「いいよ。じゃあ、アルテミスと一緒に行くから」
 ヴィーナスは「じゃあね」と言って、その場から歩み去っていった。ヴィーナスはマーズに相談したいことがあると言っていた。わざわざ部屋に呼び付けると言うことは、重要な用件なのかもしれない。その相談の内容も知りたかったが、自分が聞いてしまうわけにはいかないのだ。ヴィーナスにマーズの部屋に行くように頼んだのは、そうしなければこの日にふたりが相談し合うべきことが、自分が間に入ってしまったことで行われない可能性が出てしまったからだ。「仮定」はどうであれ、「結果」を変えてしまうわけにはいかない。だからレイは、この日にきちんと相談が行われるように、お膳立てをしたのだ。
「その気になれば、シルバー・ミレニアムの崩壊を阻止することができる……。だけど、それは禁忌(タブー)だものね」
 レイはこの時代では無力な自分が、無性に悲しかった。

 覚えているとは言っても、それは前世の記憶の中にあることであって、実際に自分が体験して蓄積された記憶ではない。どこをどう曲がれば目的地に着けるのか、頭の中では分かっているものの、自分の意志とは別の力が働いて動かされているような気がして、あまり気持ちが良い体験ではなかった。
「俺って、こんなにも肝っ玉が小さかったのか……」
 王城内をオドオドしながら歩む大道寺は、回りに人の気配がないことを確認してから、大きく息を吐き出した。端から見たら、かなり挙動不審に見えるだろうなと考えたが、こんなところにひとりで放り出されたら、やはり不安になってしまう。前世の自分に出会さないようにと注意すれば注意するほど、どんどんと挙動不審になっていく。
「ねぇ、ジェダイト」
 だから、背後から声を掛けられたときは、絶叫するほど驚いてしまった。
「そんなに驚かないでよ……。こっちがびっくりするじゃないか」
 振り向いたそこに立っていたのは、美園いやゾイサイトだった。眼を真ん丸にして、自分の顔を見詰めている。
「や、ヤぁ、ゾノ! じゃなくって、ゾイサイト。ご、ご機嫌如何かな?」
 声が裏返ってしまった。慌てて、取り繕うに顔に笑いを浮かべた。
「どうしたの? 何か変だよ?」
「へ、変なことはナいと思うぞっ。これが、ふツーじゃないカな?」
「熱でもあるんじゃない?」
「いや! いたってケンコーですっ。はいっ!」
 自然に振る舞おうとすればするほど体は緊張し、言葉がしどろもどろになる。しかも、妙に声のトーンが高い。
「アレレ? そう言えば、ジェダイトはさっき、クンツァイトと一緒に出掛けなかったっけ?」
「いつ!?」
「たった今」
「えっ……」
 ジェダイトはゴクリと唾を飲み込んだ。とてもヤバイ。
「今ふたりを見送ってきたところだった。あははは……」
「あははは……」
 ゾイサイトが笑ったので、大道寺も一緒になって笑い出した。
「……で、何でここにいるの? キミ、本当にジェダイト?」
 急に笑いを引っ込めて、ゾイサイトは疑わしげな目を向けてきた。
「わ、忘れ物を取りに帰ってきたんだよ!」
 とにかく、この場は何とか誤魔化さなければならない。
「忘れ物?」
「そ、そう忘れ物」
「ふ〜ん」
 まだ信じてなさそうな顔をしている。
「あっ! クンツァイトを待たせちゃいけないな。ええっと、忘れ物、忘れ物っとぉ」
 訝しそうなゾイサイトの視線をかいくぐるように身を(ひるがえ)すと、大道寺はゴキブリのような素早さでその場から逃げ出した。

 レイがマーキュリーの部屋に入ると、彼女はデスクの前で、宙に浮かんでいる透明のプラスチック板のようなものと睨めっこしていた。十五インチサイズの画面とほぼ同等のそのプラスチック版は、前世の記憶の中を探るとモニター画面だと分かった。ヴィーナスが、マーキュリーは調べ物をしていると言っていたので、恐らくその画面にデータが映し出されていて、彼女はそのデータを読んでいるのだ。今で言う、電子文書の(たぐい)だ。
「誰?」
 マーキュリーは体を巡らせ、レイを正面に捉えた。
「え!? マーズだったの?」
 マーキュリーは目を丸くする。
「ちょっと気配が違った感じがしたけど……。だから、誰が来たのか、最初は分からなかったの」
 そう言ってから、マーキュリーは小さく肩を上下させた。さすがに鋭い。レイは一瞬ドキリとした。
「どうしたの? 何か用?」
 だがマーキュリーは、それ以上は不審がらなかった。すぐに柔らかい笑みを浮かべてくれた。レイは心の中で胸を撫で下ろし、
「聞きたいことがあって……」
 そう言って、マーキュリーの元に歩を進めた。
 マーキュリーは椅子から立ち上がると、マーズに部屋の奥のソファを勧めた。
 ソファに腰を沈めると、自分の中のマーズが懐かしんでいるのが分かった。マーズは、この位置から窓外の庭園の風景を眺め見るのが好きだったらしい。何気なく座った位置だったが、そこがこの部屋でのマーズの居心地の良いスペースだったようだ。意識してそうしたわけではないが、普段とは違う場所に腰を下ろして、再びマーキュリーの不信感を買うようなことにならずにすんだのは幸運だった。
「長居はしないから」
 マーキュリーがお茶を入れに行こうとしたので、レイはさりげなく遠慮をした。マーキュリーは観察力に優れている。自分とマーズの相違点を、すぐに見咎めるかもしれない。お茶を飲む際のマーズの癖を、レイは忠実に再現できる自信がなかった。だから、用件だけすませたら、とっとと退散するつもりだった。
 マーキュリーはレイの向かいに腰を下ろしながら、
「何か心配事?」
 と尋ねてきた。
「ちょっと気になることがあって」
 レイがそう切り出すと、マーキュリーは見詰め返してきた。
「マーキュリーはカリュアを覚えているわよね?」
 プルートの転移に間違いがなければ、今はセレニティがカリュアに襲われた二日後のはずだ。
「ヴィーナスから聞いているわ。彼女が行方を追っているけど、まだ掴めていないはずよ。聞いてない?」
「え、ええ……」
 実際にマーズがどの程度の情報を知っているか分からなかったし、ヴィーナスの調査がどこまで進んでいるのかも分からない。マーキュリーから情報を引き出すためには、ある種の駆け引きが必要だった。
「いまひとつ要領を得なくってね。マーキュリー(メルク)の方が、情報交換には適任だし」
 マーキュリーのことを“メルク”の愛称で呼んでいたことを思い出し、レイは彼女をそう呼ぶことにした。
「それもそうね」
 マーキュリーは笑った。説明下手なところは、この時代のヴィーナスも美奈子と同じようだ。ひとつめの“博打(ばくち)”は成功した。
「ところで、シニスを知ってる?」
「カリュアと交流のある人物ね。マーズは彼女もこの件に絡んでいると思うの?」
「可能性の話だけどね。個々の力だけでは限界があるわ。共通の目的を持つ者同士が集まって、組織だった行動を取るんじゃないかと思ったの」
「それはわたしも考えたわ。彼女たちは、魔女ナイルの崇拝者ですものね」
 ビンゴ!
 レイは小躍りしたい気分になった。一か八かのはったりだったが、瓢箪から駒である。
「魔女ナイルか……。厄介な相手よね」
 レイはさもナイルを知っているかのような口振りで応じた。マーキュリーは神妙な顔で肯く。
「復活すればだけどね。でも、クイーン・セレニティの封印がそう簡単に解けるとは思えないわ」
「連中がプリンセスを襲ったのは、プリンセスを盾にクイーンにナイルの封印を解かせるためじゃないかしら……」
「大いにあり得る話ね」
「カリュアたちの動向に気を付けないとね」
 そう答えながら、レイは心の中で再びニヤリとしていた。大変な収穫である。カリュアたちは十中八九、魔女ナイルを復活させるために動いている。二十世紀に来たのは、その行動の一環だろう。これだけ分かれば、長居は無用だ。レイはソファーから立ち上がった。
マーキュリー(メルク)がそこまで知っているのなら、心配はないわ。何か分かったら、また相談に来るわ」
「ええ、お願いね。プリンセスは、あたしたちで守らないとね」
 胸が締め付けられる思いで、レイは肯いた。彼女たちは、プリンセスを守りきれなかったのだ。結果が分かっている今なら、適切なアドバイスをしてやることができる。だが、それでは歴史が変わってしまう。シルバー・ミレニアムが滅びなければ、今の地球はないのである。たった今、自分と会話をしたマーキュリーは、あと数日の内に死ぬことになる。プリンセスを守りきれなかった四守護神は、プリンセスの亡骸を囲んで共に自害して果ててしまうのだ。
「マーズ。どうしたの?」
 マーキュリーが不思議そうに自分の顔を覗き込んできた。
「え?」
「泣いてるわよ?」
「え? あ、何でだろう……。ごめんなさい、気にしないで」
 自分が泣いていたなんて、全く認識していなかった。レイは慌ててその場を取り繕うと、足早にマーキュリーの部屋を退室していった。

 ベリルの部屋の前にやっとの思いで辿り着いた大道寺だったが、なかなか次の行動に移る踏ん切りが付かなかった。ジェダイト(じぶん)がひとりでベリルの私室を訪ねるなんてことが、果たして不自然すぎやしないかと、土壇場で悩んでしまったのである。元来、細かいことはあまり気にしないタチではあるが、それも時と場合による。
「う〜ん」
 腕組みしたまま、首を捻る。
「……昼間に“夜這い”に来る方も珍しいですけど、命を捨てる覚悟がおありでしたら、陽が暮れてからどうぞいらしてくださいな」
「忍ぅ……。きっついぞ、ソレ……。って、へ!?」
 聞き覚えのある声だったので、思わず答えてしまってから、大道寺は今自分がいる場所を思い出した。声が聞こえてきた方向に恐る恐る顔を向けてみると、この部屋の主が、もの凄い形相でこちらを睨んでいた。思わずチビリそうなる。
「シノブって何者ですの?」
「え!? あ、し、下町の女の子……って言ったら信じる?」
「ジェダイト殿は、もう少し真面目な方かと思っておりましたが……。けっこう女性がお好きなようですね。わたくしも気を付けさせてもらいます」
 軽蔑するような、嫌悪するような、ベリルの視線だった。
(すまん、ジェダイト。お前の名誉を汚してしまったかもしんない……)
 心の中で、大道寺は前世の自分に対して詫びた。
「それで、わたくしに何かご用ですか? ご用がないのでしたら、そこを空けてくださらないかしら? わたくしは、自分の部屋に入りたいの」
「あ、いや、ちょっと聞きたいことがあったんだけど……」
「ここではできぬ話だから、わたくしの部屋に入れろとそう仰りたいの?」
 なかなかベリルは勘が鋭い。その辺は忍も同じだ。しかし、忍に輪を掛けて、ベリルは恐い。
(神様……。どうか、殺されませんように)
 大道寺は、思わず祈ってしまう。
 黒を基調とした裾の長いシンプルなドレスを(まと)ったベリルが、ゆっくりとした足取りで自分に迫ってくる。その迫力に、大道寺はゴクリと唾を飲み込む。
「どうぞ。ただし、変なことをなさったら、有無を言わさず即座にお命を頂戴致しますわよ。そのお覚悟がおありでしたら、どうぞ部屋にお入りくださいな」
 大道寺は、何もかも捨てて逃げ帰りたい気分になった。

 せつなは城下を一望できる丘の上で、大道寺が戻ってくるのを待っていた。
 穏やかな風を体で感じながら、一時間ほど待っていると、背後に大道寺の気配を感じた。体ごと振り向くと、大道寺が丘を駆け上がってくるのが見えた。疲れ切った様子の大道寺の顔を見て、せつなはつい笑いをこぼしていた。
「こんなに緊張したのは、中学ん時の初デート依頼だよ……」
 笑んだせつなの顔を見て、やっと緊張が解れた大道寺が深い溜息を付きながら、その場にへたり込んだ。
「ご苦労様。収穫は?」
「まぁまぁだな。レイの方は?」
「これから迎えに行くところよ。そろそろ二十世紀に戻らないと、こっちのプルート(あたし)に怒られちゃうわ」
 せつなは茶目っ気たっぷりに肩を(すぼ)めた。実際、禁忌(タブー)ギリギリのところで行動をしているので、ひとつ間違えると、この時代のプルートが消去に現れるかもしれないのだ。それだけは避けなければならない。説明すれば信じてもらえるだろうが、そうなるとプルートは、シルバー・ミレニアムが間もなく崩壊してしまう事実を知ってしまうことになる。歴史が変わってしまうのだ。
「さぁ、シルバー・ミレニアムに行くわよ。レイと合流して、二十世紀に戻りましょう」
 もう少しのんびりと城下を眺めていたいところだが、自分たちはこの時代に旅行に来たわけではない。
「そう簡単には、行かせてくれそうにないみたいだぜ」
 大道寺は眼を鋭く輝かせながら。その場からゆっくりと立ち上がった。せつなは緩んでいた気持ちを引き締め治さなければならなかった。

 予定の時間になっても、せつなは迎えに現れなかった。
 携帯電話型通信機の液晶画面に表示されている時刻は、既に合流予定時刻を一時間も上回っている。(あらかじ)め決めていた合流地点で待っていたレイは、次第に不安になっていく。三十分程度なら、予定時刻を前後する可能性があることは予測していた。だが、それにしても一時間のズレは大きすぎる。せつなは時間に正確な女性である。自分より先に、大道寺を迎えに行ったとは考えられるが、それにしても遅すぎる。
「何かあったのかしら……」
 予期せぬ、何かがあったとしか考えられなかった。
 レイは既に変身を解き、クリスタル・パレスからも離れているので、ぶらぶらしていてもセーラー戦士と間違われることはない。T・A女学院の制服は、シルバー・ミレニアムの住人たちの服装の中では特異な方だが、奇抜すぎて目立ってしまうという程ではなかった。
 噴水のある広場は通行人が多かったが、人待ち顔のレイに興味を示す者はいなかった。これが二十世紀の日本だったなら、下心見え見えの男性がナンパに来るところだろうが、幸いにもシルバー・ミレニアムには「ナンパ」などという下世話な風習はなかった。
 このまま待つだけでいいのなら、この場に留まっていてもいいのだが、せつなたちの身に何かがあったのなら、そこへ向かわねばならない。大道寺が向かった場所は分かっているから、そこに向かえば少なくとも大道寺とは合流できるはずだ。
「通信機が使えれば確認できるんだけど……」
 レイは、本来の役目を果たしていない携帯電話型通信機に目を向けた。せつなも同じ物を持っているから、使おうと思えば使うことはできる。しかし、それではシルバー・ミレニアムの監視システムに異常電波として引っ掛かってしまう。自分たちの存在を知られてしまう可能性があるので、この時代で通信機を使うわけにはいかなかった。
「……残念だけど、ふたりは来ないわよ」
「!」
 ふたりの女性が殺気を(みなぎ)らせながら、自分の方に歩み寄ってくるのが見えた。マーズ(・・・)の記憶が、イーダとラクジットという名の女性だということを告げている。敵対心が湧き上がってくる。親しみは全く感じなかった。「敵」である。
 レイは身構えた。
「あたしたちが分かるらしいよ」
 声を掛けてきた方とは別の女性―――こちらがラクジットのはずだ―――が、チラリとイーダの顔を見てそう言った。
 戦闘は避けられそうになかった。しかし、シルバー・ミレニアム(ここ)で戦うのはマズイ。セーラー戦士としての能力を解放したら、自分の存在をクリスタル・パレスの四守護神やセーラープルートに気付かれてしまう。
「そうだよね。戦えないよね。四守護神に気付かれちゃうものね」
 ラクジットはレイの事情をよく理解しているらしい。だからこそ、襲撃に現れたのかもしれない。
「あんたたちの行動なんてお見通しなんだよ。悪いけど、ここで消えてもらうよ」
 イーダは余裕の笑みを浮かべた。