亜美と美奈子の事件日誌・あいうえお殺人事件
あらすじ 十番高校に通う亜美の下駄箱の中に殺人を予告する手紙が投げ込まれ、連続殺人に発展する。そして、あの名作漫画の刑事達も出演する。アガサ・クリスティの名作、ABC殺人事件を真似た連続殺人事件に亜美と美奈子が挑む長編推理小説。
第一章 第一の殺人
十番街にある都立十番高校の昇降口。俗に言う下駄箱。9月9日、いつも通り登校してきた亜美はいつも通り自分の下駄箱を開けた。
「うわ〜。また入ってる・・・」
亜美の下駄箱の中にはどこにでも売っている茶封筒が投げ込まれていた。亜美は男子生徒のあこがれにも関わらず、ラブレターのたぐいは全くだめなのだ。
「あ〜、亜美ちゃんまた入ってたの〜??」
うさぎが亜美をからかう。
「ホント、困るのよね・・・」
亜美がため息を付きながら、封筒を開けた。
「一枚しか入っていないわね。珍しい」
たいがいのラブレターは三枚くらいが相場だ。しかし、その紙は一枚しか入っていなかった。
「なにこれ!?」
この一通の手紙から、全国を揺るがす連続殺人事件に発展しようとはこの時の亜美には知るよしもなかった。
亜美は難しい顔をしながら自分の教室に入り、机の上に自分の下駄箱に投げ込まれていた手紙をじっと見つめた。
「亜美ちゃん、どうしたの??」
まことがいつもと様子の違う亜美に気づき声を掛けた。
「これ・・・」
亜美はまことに手紙を見せた。
「何なんだこれは!?いたずらにしては度が過ぎてるぜ!」
まことが絶叫した。まわりにいたなるや美奈子も駆け寄ってきた。
「すご・・・。まるでどこかの推理小説から引っ張ってきたみたいな文ね」
美奈子は冷静に語った。
「うさぎちゃん。どう思う??」
ずっと亜美のそばにいたうさぎになるは訪ねた。
「こういうたぐいは、亜美ちゃんや美奈子ちゃんの分野だから、全然分かりません・・・」うさぎの意見はもっともであった。
「これを悪質ないたずらと思って対処するか、本物と思ってぶつかるか・・・」
亜美は顔をしかめた。そこに海野がやってきた。
「水野さん、どうしたんですか???」
海野が亜美に声を掛けた。
「海野君、これどう思う??」
亜美は海野に手紙を差し出した。
「なんですかこれ?水野さんをなめてるんでしょうかね??」
海野は素っ気なく答えた。
[十番高校一番の頭脳を誇る水野亜美様。数々の難事件を解決したそうですね。称賛に値します。しかし、私のような愚か者を止めることは出来ますかな??9月11日あきる野市で何かが起こります。まぁ、指をくわえて見ていて下さい。敬具 あいうえお]
「私、難事件なんか解決した事なんて無いんだけど・・・」
亜美が海野に言った。
「亜美ちゃんの場合、校内で発生した盗みやら痴漢やらの事件を解決したことならあるけど、こんな妙な文を送りつけるほど亜美ちゃんは重大事件には関わってないわよね」
厳密に言えばセーラー戦士としては無限学園の崩壊事件や、不法侵入すれすれのことをやっているが、水野亜美としてはうさぎの言うとおり、校内で起きた些細な事件をうさぎたちと一緒に解決したくらいしかない。第一、十番高校で一番成績の良いと言うことを知っているのはセーラーチームを除いて、十番高校の生徒や教職員くらいだ。
「普通に考えれば、校内の関係者が亜美ちゃんの下駄箱の中にこんな手紙を投げ込んだとしか考えられないよね??」
なるは真剣に答えた。
「う〜ん・・・。普通のコピー用紙に、パソコンかワープロで印刷された犯行予告状か・・・。まぁ、美奈子ちゃん、ケーサツ方面はまかせるわ」
まことは美奈子に丸投げした。
「はいはい。どうせそんな役でしょうよ」
美奈子はまことに冷たく言った。
「何も起こらなければいいけど・・・」
うさぎは不吉な予感にさらされた。
十番高校職員室。ここに警察官がどっと押し寄せてきたのは亜美に不可解な手紙が送りつけられて来てから三十分後だった。
「で、盗まれたのは全校生徒の在籍名簿と成績表ですね??」
警視庁麻布警察署生活安全課の谷橋警部補が校長に問いただした。
「はい。金庫をこじ開けられて、中にあった名簿と成績表が無くなっていました」
校長は憔悴しきった様子で話した。
「警部補。盗まれたのは本当にそれだけですね〜。金庫にあった現金やノートパソコンには一切手を付けていません」
鑑識の一人が谷橋警部補に報告した。
「犯人の目的は何だろうか?」
谷橋警部補は頭を抱えた。盗まれた名簿はあくまで在籍を確認するための名簿で、住所や電話番号などは一切載っていない。成績表は、パソコンの表グラフのソフトを使っていわば下書き用に作られた非常に簡素なもので、闇のルートで出回らせるにしてはあまり金にならないものである。
「警部補。警備会社に確認したところ、昨夜は十番高校から非常を知らせる自動システムは正常に動いていて、特別変わった様子はなかったということです」
谷橋警部補の部下が警備会社からの報告を谷橋警部補に伝えた。
「外から破られた様子がないんだよな・・・」
谷橋警部補はため息を付いた。その時。
「警部補、職員室の勝手ドアの鍵がきれいに開けられています」
鑑識からの報告だった。
「どういうことだ??」
「まず最初に何も加工していないマスターキーを鍵穴に入れます。キーを取り出すと傷が付きますから、それをうまくやりながら金ヤスリで加工していって、自分一人でマスターキーを作り、まんまと中に入り込んだと言うことです」
「なるほど、それなら昔自動車窃盗団が使った手だな」
鑑識からの報告で谷橋は納得した。
「ここは、普通に鍵を開けると自動的に警備システムがオフになります。犯人はその盲点を突いたのでしょう」
谷橋は校長からそんな話をされた。
「警備会社にはシステムが切れた時間は記録されているのか??」
「今すぐ調べてみます」
谷橋が部下にシステム状況を確認するよう指示した。
十番高校の生徒達も、たくさんの警察車両に驚いていた。
「まこちゃん、何があったの??」
うさぎがまことに聞く。
「職員室にあったあたいらの名簿と成績表の下書きが、保管金庫からまんまと盗まれたそうだ」
「えぇ〜!?成績表!?」
うさぎにとってはある意味盗られたくないものを盗られた気持ちになった。
「在籍名簿なんて、闇のルートに売る気かしら??」
亜美が冷静につぶやく。
「住所も電話番号も書いてないもの盗んだって、金になりゃしないよ、亜美ちゃん」
まことが亜美に言った。
「ちょっと待って!成績表を盗んだって事は・・・」
なるがはっとした顔になる。
「そうか!亜美ちゃんにあの手紙を送りつけた野郎が、あたいらの名簿やらを盗んだ奴だ!」
まことが気づいた。最初から十番高校の成績優秀者にむけて手紙を出したいのならば、名簿や成績表を盗むのが一番手っ取り早い。亜美に妙な手紙が下駄箱に投げ込まれていたのも頷ける。
「あきる野市で何かが起きるという事しか書かれていないから、あきる野市の繁華街何かの場所を重点的に警備を強化する以外、なにもできないわね。それに警察が重大事項として取り扱ってくれるか非常に微妙よ」
美奈子はお手上げのジェッシャーをした。
「とにかく美奈子ちゃん、若木さんや警視庁のあの人に相談したいんだけど・・・」
亜美は美奈子に警視庁に一緒に行ってくれるよう頼んだ。
「良いわよ。まだセーラーチームは帝国華撃団の件で警察職員の身分は失っていないからすぐに入れると思うわよ」
美奈子は亜美を連れて警視庁に行くことに決めた。
警視庁警視総監室。桜田警視総監はいつも通り出勤して、総監室で書類の決裁をしていた。そこに秘書官が入ってきた。
「桜田総監、お客様ですが・・・」
「誰??」
桜田総監が秘書官に尋ねた。
「愛野美奈子巡査と水野亜美臨時事務職員です」
「すぐに通してあげて」
桜田総監は秘書官に言った。
「お久しぶりです。桜田さん」
「桜田さん〜、お久しぶり〜〜」
亜美と美奈子はすぐに総監室に通された。
「二人とも久しぶりね。今日はどうしたの??」
「実は・・・」
亜美は自分の下駄箱に投げ込まれた怪文書を桜田総監に見せた。
「いたずらにしては度が過ぎてるわね。犯行予告みたい」
桜田総監は冷静に文章の内容を分析した。
「あと、今日十番高校に何者かが侵入し、在籍者名簿と下書き用として作られた成績表が職員室の耐火金庫から盗まれました」
美奈子が例の窃盗事件についても報告した。
「と言うことは、最初から十番高校の優秀な人物にこの文章を送りつけようとしたわけね」「そう言うことだと思います」
亜美は桜田総監の考えに同調した。
「9月11日あきる野市・・・。なめた真似してくれるわね。同時テロの日に合わせてくるなんて・・・」
桜田総監は愕然とした。9.11と言えば誰も忘れることの出来ない、世界の歴史が変わってしまった日である。犯人はわざわざそんな日を指定したわけだ。
「11日は渋谷、新宿、東京駅周辺、品川駅周辺、お台場なんかに重点的に警察官を配置することになっているのだけど、あと二日であきる野に今更警察官を増派するなんて無理よ」
桜田総監はどうしようかという顔になった。
「捜査課の人たちを配置することは出来ないでしょうか??」
亜美は桜田総監に聞いた。
「無理ね。本当に起きるかどうか分からない文章なんて誰も相手にしないわ。仮に起きたとしても責任問題に何かならないから、まじめに動いてくれないかも・・・」
「そうですか・・・」
警察の古い体質がまだ若干残っているのか、改革派の桜田総監にとってもまだまだ難題山積みなのである。
「とにかくあきる野署と麻布署には私の方から言っておくわ。麻布署の聴取には真剣に答えてあげてね」
「分かりました」
亜美は桜田総監の考えを受け入れた。
警視庁麻布警察署の署長室。亜美は麻布署に出頭し、桜田総監から麻布署に情報が行っていたためか、事情を聞くのに署長室に通された。
「で、この怪文書が君の下駄箱の中に投げ込まれていたと?」
生活安全課の谷橋警部補が亜美に問いただした。
「はい、間違いありません」
「ふんむ・・・。実はね名簿なんかが盗まれた時間はシステムの記録から午前二時頃なんだそうだ。で、この手紙を水野さんが見つけたのが大体午前八時十五分頃、六時間と少しの間に名簿と成績を調べ上げ、ワープロでこの文章を打ってということを考えても普通に二時間と言うところ。まぁ、何で十番高校の生徒なのかよく分からないけれど、これがただのいたずらだといいがね」
谷橋はため息を付く。
「あきる野市で一番の繁華街は五日市駅周辺ですよね??そこで何か起きると言うことはないのでしょうか??」
「一応あきる野署には伝えてあるが、なにせ誰を狙うとか、あきる野市のどこで犯行をおこなうとか書いてないからね。繁華街でたまたま起きてくれれば対処できるだろうが、山間部の多い地域だから、山や森の中で犯行をやられたらお手上げだね」
亜美の問いに谷橋は事実上かなり厳しいという状況を話した。
「11日が恐いですね・・・」
「全くだ」
谷橋は11日に何も起こらないように祈った。
9月11日、テレビはアメリカ同時多発テロの特集をたくさんおこなっていた。東京はと言えば、都心の繁華街やターミナル駅などに警察官を重点的に配置し、制服警官の他に私服警官まで投入するという念の入れようの警備体制を取った。犯行予告のあったあきる野市では、五日市駅前の繁華街などにいつもより多めの警官を配置したが、都心に比べれば事件を防ぐには不十分な人数であった。
「何も起こらなければいいのですが・・・」
総監室では秘書官が心配そうに桜田総監につぶやいた。
「空振りで終わってくれることを祈るしかないわね。もし起こったら、本庁はパニックよ」桜田総監も心配そうに窓の外の東京の町並みを眺めていた。
警視庁あきる野警察署。五日市駅から歩いて数分の所にある。ここに一本の電話が掛かってきたのは、11日午後8時40分頃であった。
「はい、あきる野警察署地域課です」
「すぐに来て下さい!!道路に人が倒れているのです!!!」
通報は帰宅途中の女子中学生からだった。おぞましい連続殺人事件が切って落とされた!!
「典型的な撲殺ですな・・・」
あきる野警察署捜査一課の矢橋警部はため息を付いた。
「被害者は市内に住む阿部公子さん16歳。都立T高校に通う女子高生ですな」
部下の刑事が矢橋にそう言った。
「かわいそうに。まだまだ人生これからだというのにな・・・」
矢橋が気の毒そうに路上に倒れている公子を見てつぶやいた。
「通り魔でしょうか・・・?」
部下の刑事はそう言った。
「まだ分からないな。そろそろ、本庁のお偉いさんが来るかな?」
矢橋は近づいてくる車列に向かってそう言った。
「警部、本庁の明智警視と剣持警部が到着されました」
「警視庁刑事部長の明智です」
「捜査一課の剣持です」
「あきる野署の矢橋です」
一通りの挨拶を終えると早速本題に入った。
「被害者はあきる野市に住む阿部公子さんという女子高生です。死因は後頭部を鈍器のようなもので殴られたことによる脳挫傷。一撃で相手に致命傷を与えているそうです。詳しいことは司法解剖を待たないと何とも言えませんが」
矢橋は明智警視達に説明した。
「死亡推定時刻は??」
剣持警部が矢橋に質問した。
「今日の午後六時前後だということです。ちなみに発見されたのが8時40分頃ですが・・・」
「二時間四十分の間、ここを誰も通らなかったと??」
「ここは、あきる野市の中心部から離れている上、舗装道路とは言え山道、この先や手前にも民家は数件しかないところですからね。誰もここを通らなかったというのは地元の人間からしてみれば頷けます」
「なるほど・・・。犯人にしてみれば逃走時間をゆうに得られるってわけか」
剣持は納得した。
「後頭部から殴られていると言うことは、背後からそっと近づいて撲殺したと言うことですね?」
明智警視は念を入れた。
「はい。ただ、このあたりは以前から不審者が出没するとか、若い女性が追い回されるとかそういう情報は全くなかったので、行き当たりばったり的にしてはずさんな犯行です」
矢橋はどうもしっくり来ない様子だった。
「これだけの血が流れているのですから、犯人は返り血を浴びているわけですけどね・・・」
「目撃者は出ましたか??」
「いえ、犯人を見た者も、犯人につながる有力な物証もありません。何せ通り魔なのか、恨みによる犯行なのか、まるで動機が分かりません」
矢橋は再びため息を付いた。
「最近の犯罪例からいくと、動機がめちゃくちゃな犯罪というのが増えています。そして、偏執狂的な犯罪も増えていますから、こういう犯罪が起きたとき、動機がないのにただ殺したかっただけという、異常な犯罪者が多いのです」
「では明智警視は今回の事件は、異常犯罪者による事件だと??」
「断定はできませんが、そのたぐいだと私は思います」
「矢橋警部〜〜!!」
鑑識の一人が矢橋に叫んだ。
「被害者の鞄の中からこんなものが・・・」
「なんだこれは・・・」
鑑識から一枚の紙が矢橋に渡された。
「ちょっとよろしいですか??」
明智警視がその紙を矢橋から受け取った。
「駅すぱあとですね」
「なんですか?それは??」
剣持が明智警視に聞いた。
「いわゆる、パソコン版の鉄道・飛行機の時刻表です。最寄り駅から目的地の駅までの駅名を入力すると、所要時間や運賃などが自動的に計算されて出てくる優れものです。これは、検索サイトの駅すぱあとですね。無料で使えます」
「ということは、これは東京から五日市までの経路が一覧になって出てるのですな」
「そうです。ここで一つ疑問なのは、五日市からではなく東京からの検索になっている点です。もし、被害者が東京に行くのであれば五日市から検索をしなければこのソフトは意味がありません。五日市からのでなければ、何時何分の電車があるというのが分からないですからね。もし、東京〜五日市間の紙を持っているのであれば、両方持っていなければならない。しかし、被害者は復路の紙しか持っていない。さらに詳しく見ていくと、この時刻は始発です。復路であるならば、昼から夕方の時刻表のはず。始発の時刻表を持っていると言うことはげせません」
明智警視はすらすらと推理して見せた。
「なるほど・・・。でも最近の女子高生は朝帰りが当たり前ですから・・・」
「矢橋警部。思いこみは捜査に支障をきたしますよ?おまけに被害者はどうやら、携帯電話を持っていないらしい。出てないでしょ??持ち物から」
「確かに・・・。手帳には友達の携帯電話の番号がメモしてありましたが、携帯電話は出てきませんでした」
「とにかく、被害者の身辺を洗う必要がありそうです」
「被害者の自宅に案内してくれませんか??」
「そうですな。少し調べてみましょう」
矢橋は明智警部と剣持を連れて、被害者の自宅へと向かった。
被害者の自宅に来たとき、二人の若い女性が門の前で立っていた。
「君たちは?」
「警視庁警備局の愛野美奈子です」
「同じく水野亜美です」
二人は警察手帳を三人に見せた。
「警備局の人間がなぜここに??」
「実は私の元に、こんなものが送りつけられてきたのです」
亜美は例の予告状を明智警視に見せた。
「ふむ・・・。犯行予告状ですか。9月11日、あきる野市で何かが起こる。まさに現実になったというわけか」
「だから、本庁から私たちの所へ、11日は警戒するよう指示を出したわけですな」
矢橋はここ数日の動きにようやく理解を得た。
「警備局から来たのですから、桜田警視総監から指示されて派遣されたわけですか?」
明智警視が二人に聞いた。
「その通りです。明智警視に協力しなさいと言う指示です」
「確かに桜田総監直轄の警備局の警官にこんな予告状が届いたわけですから、当事者達を派遣するのは筋が通っていますね」
明智警視は妙な納得をした。
「じゃあ、この二人も加えて捜索してみますか」
矢橋は亜美と美奈子を加えて、被害者宅へと入っていった。
「パソコンも無ければプリンターもなし。あるのはもう動かないワープロと、懐かしいタイプライターですか」
明智警視は公子の部屋を見てある意味感心した。
「JTBの時刻表がありますね。これであの紙は犯人が鞄の中に殺害後に突っ込んだと言うことがはっきりしました」
「犯人が入れた??何のために・・・?」
剣持が明智警視に聞いた。
「それは分かりません。ただ、犯人の何らかのメッセージでしょうね」
明智警視はそう言った。
亜美と美奈子は東京に帰る電車の車内で話し合っていた。
「どう思う亜美ちゃん。今回の事件」
「よく分からない。強いて言えば犯人はかなりずさんなように見えて、頭がいい犯人かもしれない。ただ、動機が見えないの。頭がいい犯人なら動機が必ずあるはずだからね」
「なるほど・・・」
美奈子は亜美の言うことに全面的に賛同した。
「おまけに、これは私の勘だけどこれで終わりじゃないと思う」
「ということは、まだまだ死ぬ人が出るって事??」
「そう、殺される人がまだ出るって言う事よ」
亜美の不吉な予言はこの後現実のものになる・・・。