セーラームーンVSキューティーハニー

あらすじ 塾帰り、亜美が有栖川宮記念公園を歩いていたら、一人の女の子が拳銃を持った得体の知れない集団に囲まれていて・・・・


第一章 有栖川宮記念公園での一発の銃声


 秋風に身を任せながら、いつも通り塾帰りに東京都立図書館で本を借り、有栖川宮記念公園を歩いていた亜美。
「もうすぐ、紅葉の季節ね・・・。うさぎちゃんだったら、食欲の秋!って言いそうだけど」
そんな想像をしながら亜美は家路を急いでいた。その時であった。
「パーン!!!」
「何今の音!?花火じゃないわよね!?」
亜美はそれまで聞いたこともない、乾いた音を聞いて、音がした方へ走っていった。現場に着いたとき亜美は見たこともない光景を見ていた。
「なに、あの人達!?」
木陰に身を隠しながら、亜美は黒い目だし帽をかぶった男達が、金色に塗られたピストルを一人の少女と思われる女の子に向けていた。亜美は発信器のボタンを押して、仲間達にSOSを伝えようとしていたその時・・・。
「ハニーフラッシュ!!!!」
まばゆい光が辺りを包み、その女の子は全く別の姿になっていた。
「ハニーブーメラン!!」
その女の子が放ったブーメランのような武器が男達をバッタバッタと倒していき、男達は一目散に逃げようとしていた。ところが・・・。
「キャー!!」
なんと亜美は不覚にも、男達の一人に見つかり捕まってしまった。そして、女の子の前に引きずり出されてしまった・・・。
「この女の命を助けたければ、剣を捨てろ!!」
「その子は関係ないじゃない!!狙いは私でしょ??その子を離せ!」
女の子は亜美を離すよう、男達に言った。しかし・・・
「どうしても嫌だというなら仕方がない。これはキューティーハニー、おまえのせいだ!!」
『キューティーハニー・・・?』
亜美はびっくりした様子でキューティーハニーと男達に呼ばれた女の子の方を見た。そして、亜美に銃口が向けられたとき、銃口を向けた男が悲鳴を上げた。
「うわー!!だれだ!!」
「ハニー大丈夫か??」
突然背の高い男が公園にやってきて、亜美を押さえつけていた男に石を投げて、亜美を離させたのだ。
「星児さん、その子を安全な場所に!!」
「分かった!」
背の高い男は、亜美と一緒に安全な場所へと逃げ、現場が見えるところで身を隠した。
「あなたは誰なんです??彼女は一体何者なの??」
亜美は背の高い男に質問をぶつけた。
「君は関わらない方がいい。彼女に任せていればそれでいいのさ」
背の高い男は、そう言って亜美に警告を発した。
現場では、女の子が持っていた剣で次々と男どもを倒していき、男どもは一目散に逃げていった。そして、その女の子は亜美の方へと駆けつけた。
「大丈夫?けがはない?」
「大丈夫です。それより、あなたは一体・・・」
「名乗るほどのものじゃないわ。そして、今あったことは忘れなさい。私に関わると、あなたが危険にさらされる」
女の子はそう言って、現場を立ち去った。いつの間にか背の高い男もいなくなっていた。有栖川宮記念公園は、いつもの静かな公園に戻っていた・・・。
 その後、亜美はみんなを公園に集めた。
「亜美ちゃん、大丈夫??けがはない??」
うさぎが心配そうに、亜美に話しかける。
「大丈夫。ちょっと恐かったけど・・・」
亜美が少し本音を言った。いくらいつもはクールな亜美でも、銃口を突きつけられれば恐くないはずがなかった。
「美奈子ちゃん、若木さんは呼んだの?」
まことがそれとなく美奈子に聞く。
「一応、実弾ぶっ放してるわけだからね。この辺りは鑑識さんでいっぱいになるかもね」
「と言うことは、呼んだのね?」
まことが念を押す。
「そういうこと。ところでレイちゃん、なにか霊的なものを感じる・・・?」
美奈子はレイに聞いてみた。
「何にも感じない。本当に拳銃発射事件のようね・・・。」
レイはため息をついた。
「ところで亜美ちゃん。なにか覚えてることはある?」
唐突にルナが亜美に話しかけた。
「犯人は8人。全員目だし帽を被って、金色に塗られたピストルを持ってたわ」
「あんな極限状態でよく覚えてられたね・・・。私だったら、泣いてるね多分・・・」
うさぎの一言にみな頷く。
「あぁ、あと紳士物の帽子を被ってたわ。結構目立つ」
「ふーん。ナルシストね・・・」
美奈子が感心する。
「で、その男達に女の子が囲まれてたと・・・」
ルナが念を押して聞く。
「うん。それで、全く別の姿に変身したの」
「変身!?」
亜美の一言に一同は同じ言葉を同時に発した。
「その女の子の名前は分かる??」
「男達は『キューティーハニー』と呼んでたわ。」
ルナの質問に亜美はそう答えた。
「うーん。どこかで聞いたことがあるわ・・・。確か若木さんから・・・」
美奈子がそうつぶやいた。
「は?それじゃあ、警察のお世話になってるの?そのキューティーハニーって言う女の子?」
うさぎは美奈子に聞いた。
「さぁ、いわゆる前科を持った人間なのか、それとも警察に協力したいい人なのかは思い出せないわね・・・」
美奈子は首を振った。
「まあ、とにかく警察が来たら若木さんに聞いてみよう。何か分かるかもしれないから」
まことの提案に一同は頷いた。
 美奈子が通報してから10分後、若木を始めとする警視庁の捜査員や、鑑識の人たちが有栖川宮記念公園にやってきて、捜査を開始していた。若木は亜美に、犯人はどういう人物だったか、襲われていた女の子の特徴はなどと一通りの質問を終えると、こんなことを亜美に聞いた。
「君が男達に拳銃を突きつけられたとき、男が来なかったかい?」
亜美は驚いた。
「なんで分かるんですか・・・?」
「やっぱりそうか・・・」
若木はため息をついた。
「男達はその女の子をキューティーハニーと呼んでいたでしょう?」
「はい、その通りです」
亜美は若木がなぜこんな事まで推理できるのか理解に苦しんだ。
「みんなを呼んできてくれないか?」
若木は亜美にこう言った。
 若木は、みんなが集まるとこう語り始めた。
「実はな。このキューティーハニーという女の子は、ある特別な力を持っていて、われわれや警察庁の広域捜査課や公安当局がマークしていた秘密結社を粉砕した張本人なんだ」「秘密結社??」
うさぎは目を丸くした。
「強いて言えばテロリストですね」
亜美は若木に言った。
「まぁ、そういうことだ」
若木はあっさりと答えた。
「キューティーハニーはその戦いが終わった後、キューティーハニーに変身することなく平和に暮らしていたと思ったのだが・・・。どうやら、キューティーハニーや亜美くんを襲ったのは、その秘密結社の残党だな」
若木は冷静に答えた。
「その秘密結社の名前はなんて言うんですか??」
レイが若木に質問した。
「パンサー・クロー」
「なんか、へんてこりんな名前ね・・・。」
若木の答えに美奈子は拍子抜けを食らった顔をした。
「ところで若木さん。さっき、キューティーハニーには特別な力があると言っていましたが・・・」
亜美は若木に疑問点を聞いてみた。
「空中元素固定装置。彼女はその装置から生まれてきた、人工生命体だ」
「人工生命体・・・?ということは、キューティーハニーは完全な人間ではないと・・・」まことが聞いた。
「空中元素固定装置は元々、パンサー・クローが彼女の父親に作らせた、あらゆる物質を作る装置。例えば金やダイヤモンドや、場合によっては毒ガスが簡単に作れるんだ」
「そんな危険なものから、キューティーハニーは生まれたの??」
うさぎは身震いしながら聞いた。
「ただ、彼女の父親はそれが悪用されることを知ると、その装置を破壊し、彼女をつれてパンサー・クローの研究室から逃げた。そして、その子を人間と同じように彼女を育てたってわけさ」
若木は解説した。
「へ〜。それにしても、よくそんなこと覚えてるわね」
美奈子が若木に聞いた。
「キューティーハニーがパンサー・クローの基地を破壊したとき、自分も後始末に付き合わされてね。キューティーハニーを取り調べた警察庁のお偉いさんから聞いた話を受け売りしただけさ」
若木は、「あのときは疲れたよ」と笑いながら美奈子に語った。
「ということは、キューティーハニーの居所も、その正体も警視庁では把握済みという事ね」
美奈子はさらに若木に聞いた。
「ああ。でも、これを聞いたら君たちが暴走しそうだから言いたくないのだが、やっぱり言わないとだめか・・・?」
若木は美奈子に聞いた。
「当たり前じゃない!!で、キューティーハニーの居所は??」
「横浜の山手にあるパラダイス学園という、全寮制の高校で暮らしてる。名前は如月ハニーだ。ところで、聞いてどうするんだい??」
若木は美奈子に聞いた。
「ああ、いやその〜・・・」
「助けてくれたお礼をしたいだけですから、心配しないで下さい」
言葉に詰まった美奈子にかわり、亜美がそう答えた。
「ふ〜ん。ならいいんだけど。頼むから会いに行ったとき騒ぎを起こさないでくれよ。神奈川県警からは山手であまり騒動を起こされると困るから、キューティーハニーの正体を明かすなの本当は言われてるんだからな」
若木は切実に亜美に訴えた。
「大丈夫ですから心配しないで下さい。横浜で何かおみやげでも買ってきますから」
亜美が冷静に答えた。
「ああ、そうしてくれ。横浜観光で十分だと思うから」
若木は顔では笑っていたが、内心は不安でいっぱいだった。こうして、有栖川宮記念公園の夜は更けていった。


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あとがき

皆様初めまして〜。trainでございます。実はこの話、もっと血生臭い話を最初はまとめていました。しかしながら、ロシアで起こった学校占拠事件を配慮して、大幅に内容を変更しました。でも、自分ながらうまく書けたと思っています。
ここでお詫び
キューティーハニーの設定に関して、初代キューティーハニーシリーズと、セーラームーンが終了したあと放送されたキューティーハニーFの二つのシリーズの設定がごっちゃになってしまいました。多分お気づきの方も多いと思いますが、初代とFではハニーの通う学校の名前が違います。今回は初代の方を主に採用しましたが、ハニーの必殺技はFからです。ただ、名前が違うかもしれませんが・・・。違ったら言って下さいね。修正しますので・・・また、パラダイス学園が山手にあるというのもオリジナル設定です。フェリス女子学園という学校を参考にしています。なお、山手学院という高校は山手にはありません。あしからず・・・。
次はセーラームーンの銀水晶を狙って名探偵コナンに出てくるあのキザな大泥棒が登場します。お楽しみに!

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