ACT6 つかさvs火織 (Part18)
メタルスもまた、近辺にいることはわかっていた。ミネルヴァの攻撃の及ばぬ範囲で。
アクアは彼を呼ぼうと試みた。手段はわからない。ただ、念じるのみであった。死んでも死にきれないという想いを伝えるべく。
果たして、メタルスは現れた。人間の世界で行動するのに都合が良いと、他者の身体を借りて。
メタルスの冷徹な眼差しは、ミネルヴァが直々に闘いに赴きながら、窮地に陥ったことの非を問うているように思えて、アクアはもとから感じていた責任を上乗せされたような感じであった。自分たちの見通しが甘かった、と今更ながら悔やまれる。
(予想以上だ、な……)
アクアと別の角度で、メタルスは考えていた。女王ミネルヴァの完全復活が近いことは、今回の戦闘で確証を得た。ただ、予想以上であったのが、ミネルヴァを苦しめるほどにレベルアップしたセーラー戦士たちである。
「釣り上げるどころか、パワーアップさせてしまうとはな……」
メタルスは、鍛冶谷の身体のままで、無意識に血管の浮き出るこめかみを指先で抑え、ひきつった笑みを洩らす。
メタルスの言葉にアクアは俯くと、エンディミオンに刻まれた左側の首の根元から右脇腹にかけての傷の真ん中から、血を圧縮して噴出させる要領で、砕けた闇水晶の欠片を体外へ押し出した。
一息ついたアクアが睨みつけるなり、闇水晶に付着していた血は、水晶に吸い尽くされるように消える。禍禍しい輝きが一段と強くなったように、事の成り行きを傍観するメタルスには思えた。
アクアは首を回して、メタルスを仰ぎ見る。それだけの行為が、遅々として重そうで、やっとのことのように。
メタルスに、いま一度強い眼差しを投げて、アクアは力なく顎を落とす。
(私はマーキュリーに敗れたが……一矢報いる駒は残っている……それを貴公に託したい)
アクアの声がメタルスは煩わしく思えた。肉声ではない、声を発する力すら残されていないのか。ただ観念したような表情から、不思議に、そんな訴えが脳に届いて来た。
メタルスは、溜息混じりの呆れ顔で、闇水晶を拾い上げる。
「死して尚、戦士として、敵を討つ使命を全うせんとするか」
苛立ちを隠し切れず、メタルスはそう言い捨てた。
アクアが最期に見せた穏やかな微笑は、灰となって崩れ落ちた。
所在なさそうに闇水晶を手中に転がしながら、メタルスは首を回す。
どいつもこいつも、肩の凝る考え方をする――メタルスは、呆れるを通り越して憐憫に思えて来てしまった。
「一度死んだ分際で、未練がましい真似を……」
脳裏に浮かぶのは、同胞たち。
所詮かりそめの命。傀儡に徹して生きれば、生きる苦しみなど感じずに、おしまいになるのに。
「馬鹿どもが……死に急いだな」
ドガッ
メタルスは鬱憤を晴らすように壁を殴りつけた、コンクリート壁が崩れ落ちる。
鍛冶谷の眉間に深い皺を刻んで、鍛冶谷ことメタルスは再び闇に消えた。
ついさっき上がった雨の代わりに、人だかりで一帯は滞っていた。パトカー、救急車が頻りに往来している。
大半が野次馬である。警察がその整理に躍起になっていた。
現場に近づくことすらままならない。聞こえて来るところによると、道のアスファルト舗装が破壊されているため、自動車で近づける距離が限られているのだという。だから、尚更、事件現場から遠ざけられるわけである。
つかさは嘆息する。
これでは、手がかりは掴めそうにない。
特別番組の報道したセーラーVたちの戦闘は、人外の域であった。それは――自分が追う鍛冶谷唯一( に通じるものである。)
とはいえ、傘も差さず駆けつけたのに、服が濡れただけで徒労に終わり、つかさの表情の憂愁は濃い。
「なんでも、警察のほうも、たくさん怪我人が出たらしいぜ」
「いやいや、外傷は負っちゃいない割には、揃って相当衰弱しているんだとよ」
そんな野次馬の伝聞が、つかさの耳に入る。
(他人の生命力を奪ったってことか。人間業じゃない、そんな輩がそうそういるとは思えないね)
つかさには、そんな輩の心当たりがひとりいた。仇敵でもある。――鍛冶谷唯一である。
彼女にとっての糸口が、確信に近いものに変わろうとしていた。
ひとまずこの場を立ち去ろうと、踵を返したつかさは、追憶に耽るように遠い目で、夜空を見上げた。
――思いがけないものが、目に映った。
宙に人が浮かんでいた。紅色一色の巫女のような出で立ちの少女が、ずたずたになった服装のもうひとりをおぶって。
つかさは周囲を見渡す。
異状だ。誰も気付いていないのか。現場に注目が集まっているといえ、肉眼で鮮明に捉えられる高さにいるのに。
見えていないのか。それとも、自分が幻を見ているのか。
外見で判断しがちな学校側の対策で秀才らしく見せるための伊達眼鏡を外し、目を凝らすが、やはり見える。つかさは宙を見上げたまま、眼鏡を革製のサックにしまい、ポケットに入れる。
現実か幻か。どちらにしろ、追えば、何かわかるかもしれない。自分の相手は、異能の力を持っている。異常事態は、大切な手がかりである。
つかさはそう考えているうちから、宙に浮かぶふたりを追って走り出していた。
移動スピードはさほど速くない。人を避けるように、目立たない路地裏に降下しながら入っていく。
「降りるのか」
正体を掴むチャンスである。ふたりを追って、つかさはその路地裏に入る。
向こうが自分に気付き、振り返った。その彼女と、つかさは目が合った。
「紅堂火織っ……」
見覚えのある顔立ちに、つかさは思わず呟く。真紅の瞳以外は、火織の顔のパーツと同一と見て間違いなかった。
彼女が路地裏の壁にもたれかけさせた、もうひとりの人物は一見して性別がわからない端正な顔の造りをしているが、白髪も、原型がわからないくらいに成り果てた服飾も、汚れにまみれていた。――フォレスト、その人物の名を、現在のつかさは知る由もない。
火織らしい少女も、つかさに瞠目していた。
「私たちが見えたの?」
地中に身を潜めていたフォレストを助け出すのに、結界を張って人の目に触れないようにしていたのだが。
その思わず洩らした声から、つかさは火織であると確信する。
「紅堂さん、あんた何してんの!?」
「……人違いね、あたしはマース。火星の化身たる情熱の闘神・ソルジャーマース……」
「鍛冶谷に利用されているだけだと思ってたけどね……とぼける気なら、実力行使に訴えるけど、いい?」
「貴女の力、見せてご覧なさい」
ソルジャーマースとして、火織は身構えて言う。
闇水晶の力を得ているフォレストは、ムーンライトボウの浄化作用によって、生命線である“闇”のエナジーを失い、身体機能そのものの歯車が狂っている。彼は、地中の養分を取り入れることで、自ら応急措置を施したが、こんな都会の地面では、大した効果は得られない。根本的に、鍛冶谷(メタルス)の指示のとおり、“聖地”とやらに運ぶ必要がある。
本来なら、その役目を優先しなければならないが、鍛冶谷の名を知り、結界を見破っていたつかさを放置するのは、危険だとソルジャーマースは考えた。
自分たちの障害になり得る力か、見極めなくてはならない。障害になるなら、鍛冶谷の気を煩わせることなく、ここで排除する。
つかさは、その場で小刻みなリズムをとるように、拳を作って、小さく跳ねることを繰り返す。
中段の回し蹴りが、ソルジャーマースの脇腹に入った。
思わぬ間合いの攻撃であった。拳を固めたことから、無意識に拳に注意が向いていた。だが、問題はそこではない。
ソルジャーマースに、大したダメージはない。だが、一跳躍で間合いを詰めたつかさの肘打ちが飛んで来る。
「ば、馬鹿な……攻撃が読めない」
肘打ちを、身をかがめかわしたソルジャーマースは思わず呻く。自分の眼は、敵の情念を映し取るはずなのに。つかさから感じられる情念が攻撃に向けられていないため、前もって対処できない。
思いがけない事態に、内心動転するマースは、本来のスピード、攻撃力も発揮できずに、後手に回っていた。
つかさは、肘打ちの勢いで、身を反転させながら、身を沈め、ソルジャーマースの足を払う。
ソルジャーマースが尻餅をついたのを見逃さず、つかさは低姿勢のまま喉輪で彼女を押し倒すようにして、そのままマウントポジションを取る。
つかさは、ソルジャーマースの襟を掴み、襟締めの体勢に入った。いつでも絞め落とせる、思わず触れたつかさの手に込められた力がそう物語っていた。
自分の状況が未だに信じられず、唖然としてソルジャーマースは、改めてつかさの顔を見上げる。勝利を確信した一方で、淋しげな翳りがあるように見えた。
つかさは、怒りや憎しみどころか淋しげですらあるのである。そのため、ソルジャーマースは己の力に転換するつてがなく、いつもと勝手が違い、戸惑っていたことを悟る。
エナジーなど一切放出しないごくシンプルな筋力の打撃。それが、ここまで自分を追い詰めたのも、考えてのものではないからである。こちらの動きに応じて、反射的に、身に沁みついた攻撃手段に出ているのである。
だが、それがわかれば何てことはない。
一瞬にして底知れぬ恐怖を突きつけられた思いで、つかさはソルジャーマースから離れた。自分に触れていた彼女の手に熱気が渦巻いていた。
「その能力( を、鍛冶谷は利用したがっているわけだ」)
自分でへらず口と自覚していた。つかさは、気を落ち着ける時間を稼ごうとする。
「貴女も、同じような能力( を持っているんじゃないかしら。私の結界を見破ったんだから」)
「なに……」
ソルジャーマースの言葉に、つかさは胸を突かれる。
(あたしにも異能の力があるって言うのか)
声にできる言葉を失っていた。
(だったら、何で、あのときその力を出せなかったんだ)
自分への怒りが込み上げた。
もし、本当に自分も異能者ならば、せめて今、その力を出してくれ。せめて目の前にいるこの娘( だけでも、手遅れになるまえに。)
つかさは地を蹴り、その反動を、腰と上体の回転でパワーとスピードに活かして拳を繰り出す。
ソルジャーマースはせせら笑うかのように紙一重でかわし、懐に入って、つかさの眼前にまで接近する。冷静な普段の自分であれば、常人の攻撃など捌くのはたやすいという自信を取り戻す。
つかさは拳を引いた反動で、身体を反転させ、後ろ回し蹴りを放とうとしていた。
だが、ソルジャーマースの肘が、その蹴りを迎え撃った。威力が乗っていただけに、肘がつかさの脛にめり込んでいた。
「ううっ」
つかさは短い悲鳴をあげて、その場に崩れた。
ソルジャーマースは、そんなつかさを侮蔑するように見下ろしながら、口では親身で誘惑的な声音で語りかける。
「無様ね……せっかくの異能も使いこなせないなんて、勿体無いことだわ。貴女がその気なら、その能力( を解き放つのを手伝ってもいいのよ。貴女も私と一緒なのだから」)
「……アンタは友達を裏切っても何とも思わないのかい」
つかさは歯を食いしばって痛みを堪えながら、そう呟いて顎を上げた。
「いるだろ、アンタにも。できたんだろ、友達が」
つかさは苦悶の表情ながら、真摯な眼差しで、ソルジャーマースの瞳を見入った。
ソルジャーマースはつかさの気迫に押され、思わず目を伏せた。
「黄野輝鈴、卯之花兎和……彼女たちを裏切って、それで何とも思わないのかいっ」
つかさはありったけの声で、ソルジャーマースに呼びかけた。マース――紅堂火織に残された良心、友情を信じたかった。今まで、あのふたりを化生させる機会はあったはずだ。鍛冶谷唯一に、アイツ( が化生させられたように。それをしなかったのは、彼女自身迷いがあるからである、良心・友情という“光”と、それを否定する“闇”の間で。)
そのとき――ソルジャーマースは重い唇を開き、双眸に真紅の光炎をたぎらせた。迷いをかなぐり捨てたかのように。
「私には、もういるの……それ以外の人まで大切にできるほど器用じゃないのよっ。スピリットブレス」
彼女の震える声が言霊を紡いだ直後、熱い吐息がつかさの身に届いた。
同時に、じりじり身体が焼かれる感触と共に、つかさの身体は吹き飛ばされる。
そのままフォレストが身を預けるコンクリート壁に叩きつけられ、つかさは意識が遠のいていくなか地面に倒れ伏した。
ソルジャーマースは口許を手で覆うようにして、荒ぶる呼吸を整える。自分らしくないことである。それから、指先を両の瞼に持っていく。つかさの言葉が脳内でリフレインして頭痛共々軽い目眩を覚えていた。
そんなマースを案じるように、同じ真紅の光を眼に宿らせた二羽の鴉――フォボスとディモスが、彼女の肩に舞い降りる。
フォボスに労わるような視線を向け、ディモスを優しく撫でながら、マースは呟く。
「心配しないで……」
心情を寄り添ってくれる安堵感が彼女の表情によぎった。
そして、つかさに歩み寄っていく。
佐輔……アンタが化け物になるのを、あたしは止められなかった。
その罰なのかな。
あたしは誰も助けられない。
助けたくても助けられない無力感を、繰り返すことは。
そんなの嫌だ!
脳裏によぎった己の無力ぶり。それをあえて引っ張り出した脳がキリキリ圧搾されるような痛みを訴え、つかさの失いかけた意識を繋ぎとめた。
あんな悔しい想いを、また繰り返すくらいなら。あんな痛々しい記憶を、また重ねるくらいなら。
無力に終わるには、まだ早い。
片膝はついたままであるが、つかさは気力で起き上がる。
「タフさだけは、常人離れしているわね」
歩みを止めて、ソルジャーマースは感嘆の呟きを洩らす。
つかさの眼光が、毅い精神力を称えている。気を少しでも緩めたら、ふらつく身体を支えるのは、その精神力にほかならない。
「アンタ、真面目過ぎるんだね……大切なものに序列があるのは仕方ないことさ。誰もが同じ価値なわけないんだよ。色んな人間がいる、アンタもあたしも、違う価値基準で動いている。だけど、一番大切なもの以外切り捨てるってのは、息苦しいよ」
つかさはソルジャーマース――火織の考え方を一笑に伏すようにして諌める、語調とは裏腹に、相手に向けられた眼差しは確固たる意志が込められ揺るぎもしない。
ソルジャーマースは拳を握りしめた、手のひらに食い込む爪から指へと血が滴る。
「耳障りで、目障りよ、貴女はっ。欺瞞ばかりの世界には、私はうんざりなのよっ」
涙声で怒鳴った。エナジーの燃焼を実感して、ソルジャーマースは怒りのままに、燃え上がるエナジーを手に集約する。
「サラマンダー」
言葉に応じるように、その瞳中に真紅の殺気が閃き、手から迸る炎が獣の顎( を模) ( って、つかさに投げられた。)
もう動けない以上、つかさは覚悟を決めて目を見開いたまま、顔前で腕を交差させ、ガードの体勢をとる。万が一にでも好機が起こり得た瞬間、それを逃すことのないように。つかさの勝負を捨てない執念が、迎え撃つ姿勢を堅持する。
炎の顎が、つかさに迫った瞬間、遮る人影があった――フォレスト。
フォレストが土ぼこりに塗( れたマントでつかさを庇い、炎を受け切った。)
「なっ」
つかさも、ソルジャーマースも唖然とする。つかさを庇ったのも驚きだが、そんな余力が残されていたことも信じられない。
「どういうつもりっ」
語気を強めて質すソルジャーマースに、フォレストは無言である。
すると、別方向からも、警戒した声でフォレストに問いかけるものがあった。
「その娘をどうするつもりだ」
男声――鍛冶谷の身体を借りたメタルスが、指同士の間に数本の針を挟んで立っていた。いつでも攻撃できることを誇示している。
「鍛冶谷唯一( っ」)
メタルスが憑依している鍛冶谷の姿に、つかさが声を荒げ、足の痛みや麻痺したような全身を強引に動かし腰を浮かす。
だが、眼前にいる男の、曇りなき緑色の瞳が向けられて、つかさはその深遠さに吸い込まれそうな錯覚すら覚えて、気付いたときには一瞬にして毒気を抜かれてしまっていた。
フォレストはそのまま双眸をメタルスに向ける。
「女王には、私はもう必要ない……“忠”も果たした……」
「だから、ミネルヴァ様にまで背くというのか」
そう言うメタルスは表情に嫌悪感を露わにする。だが、メタルス本人でも意外なくらい、落ち着いていた。おそらく、フォレストが胸中に使命以上のものを抱いている、とは察していたからであろう。
「私は、民のために生きる……だから、女王に仕えることを選んだ」
「それで?私の攻撃から、つかさ( を庇った理由になっていないわ」)
ソルジャーマースが、フォレストの背反に黙りかねて、口を挟む。フォレストの言動は、彼女の信念を冒涜するものである。
フォレストは緩やかに、彼女を一瞥する。
「彼女が“闇”に相応しいかどうか決めるには時機尚早だ……彼女は、女王がシルバームーンと同じ過ちを犯さぬための“楔”となり得る……それに……」
そこまで言うと、フォレストは背後のつかさに見返る。
つかさは、突然の敵の内輪揉めに戸惑いながらも、事態の打開策を見出そうと、周囲への注意を怠ってはいない。ひたむきに前を見続けるリアリストが、そこにいた。
(変わらないな……)
フォレストは懐かしさに唇の端を緩める。
すると、再びマントを広げ、己とつかさの姿を覆い隠そうとする。
反射的に、メタルスとソルジャーマースは追撃に出る。
「サラマンダー」
メタルスの針と共に、炎の顎( がフォレストのマントに喰らいついた刹那――その場に残されたのは、針に貫かれ燃え盛るフォレストのマントのみ。)
フォレスト自身は、つかさと共に姿が霞んで消えてしまっていた。
「テレポート……」
フォレストたちのいた地点に立って、ソルジャーマースは悔しそうに呟いた。
メタルスは舌を打ち、虚空を睨む。不安材料が実際のものとなってしまった。
「馬鹿が……」
メタルスは皮肉げに独白した。
傍で、変身を解除した火織が小首を傾げ、彼を見た。
彼は鍛冶谷として火織に愛想笑いを返しながら、心の中でフォレストに向けて呟く。
(摂理に抗い屍を曝す命に、意義を求めても無意味だと、何故分からない……)
フォレストが庇った娘には見覚えがあったが、庇った理由は、太古の縁( に囚われているからにほかならないであろう。あの娘が、奴の転生体だということか。)
それで、メタルスは嘲笑めいた表情で、視線を地に落とす。
(役目よりも重い……信じたいものなど……死人であるべき我等に無意味だと、何故分からない)
俯く格好になって、メタルスは、フォレストを哀しい位に滑稽だと皮肉を込めて嘲った。