恋シイヒト 〜衛T 8月3日・・・・・俺がこの世に生を受けた日 太陽の日差しが、1年中で一番強く地上を照らす季節・・・・ 色とりどりの緑色の葉がたわわに、生茂り涼しげな風が吹き渡る・・・ そんな季節に、俺は生まれた。 父と母が、どんな人かといわれたらとても仲の良い夫婦だったと言える。 若すぎる二人の結婚を反対した人達を、納得するまで時間をかけた。 俺が、母の中に宿った頃に周囲が認めてくれたと母が話してくれた。 父は、笑いながら言った・・・・お父さんとお母さんは、頑張ったのだと。 父と母の愛情は、まるで太陽のように暖かく優しいものだった。 いつまでも、続くと信じていた・・・・ あの日まで・・・・ 「衛、お誕生日おめでとう!」 父と母が、俺に言う。 「衛にプレゼントよ。」 1輪の深紅の薔薇の花と月の絵が夜になると出てくる懐中時計だった。 「ありがとう、大切にするね。」 そして、約束のドライブへとでかけた。 「衛、あなたはいつか自分だけの場所をみつけるの。」 母が、優しい笑みを浮かべながら言う。 「人はみんな、自分だけの場所をもっているのよ。」 「場所?」 「愛に満たされ、愛を満たすことのできる場所」 「覚えておいてね。」 母は、俺を胸に抱いてくれた。 俺は、今夜も夜の街をさまよう―――銀水晶を求めて・・・・。 銀水晶―――見つけてみせる・・・俺のために。 自分だけの場所への標になるのだから・・・・。 愛に満たされ、愛を満たすことのできる場所のために。 見つけてみせるさ、きっと必ず・・・・。
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