レイニーブルー

雨が降る・・・・

心の中で、チクリと刺す微かな痛みが思い出を甦らせる

初めて、あの人に逢ったのはロンドンの雨の日

雨宿りしたお店の前で、雨に濡れた私にそっとハンカチを差し出してくれた

私とあの人の恋のはじまりだった

優しくて、紳士なあのひとはいつでも私をそのやさしい笑顔で包み

戦いに明け暮れ、疲れて傷ついて私の心を癒してくれた

あの日、私があの人に彼女を引き合わせた事から・・・・

「美奈子・・・・私・・・・」

彼女が、あの人を恋したことを知った

「美奈子・・・・」

あの人の優しい笑顔が、私を癒してくれない理由を知った

あの人の優しい笑顔は・・・・

私ではない・・・・彼女にむけられていること・・・

認めたくなかったから、気づかないフリをした

でも・・・・

「死なないで、愛しているの心から」

彼女の心の叫びを聞いたとき・・・・・

「・・・あ・・い・・し・・て・・る・・ぼ・・く・・」

彼が、苦しい息の中で必死に伝えようとする想いを聞いたとき

「私の負けなんだ・・・」

私の恋は、終わった・・・・

ロンドンの街に、雨が降った

悲しい想いは、すべて雨に流してしまえばいい・・・・

顔上げて、雨に打たれながら祈るように呟く

この雨が、やむ頃にはきっと思い出はすべて過去になる

優しい、雨が私を濡らす・・・・

その優しさに、少しだけ甘えたい

雨が降る・・・・

すべての悲しみが、消えたなら・・・・

澄んだ青い空には、美しい星が輝く

私のこころの中にも、輝く星が現れる・・・・・





                あとがき

今回、美奈子ちゃんをテーマに書いてみました。

実は、この作品は私の記念すべき1作目のハズだった作品でした。

当時、作品を仕上げ送信した後PC初心者の私はこの作品を消去してしまったのです。(今じゃ、笑い話ですが当時は顔面蒼白)

今回、この作品は改訂版なのです・・・・作品の初版は、11月ですので季節は冬改訂版の現在は、初夏・・・・・頭の中は、真っ白でした。

そして今回の美奈子ちゃんの元ネタは、無印時代の美奈子ちゃんのお話です。ロンドンにいた美奈子ちゃんが、恋したアランと姉のように慕うカトリーヌさんが愛し合っていること知った美奈子ちゃんが雨の中で声を殺して泣くシーンがありました。

いつもは、明るく元気で楽しい美奈子ちゃんの少しだけ悲しいお話です。

この作品がそうだったのですね・・・(日向)