遠く広い宇宙の中で
幾千幾億の星々の中で
あなたと私が出会えた事
あなたと私が愛し合えた事
奇跡に近い真実よね
一度は許されぬ恋だった
想い合う事も
愛し合う事も
神様なんている筈ない
最後には
二人の灯火が消えてしまったもの
けど
二人の最期の想い
小さな願いは届いたのね
神様なんている筈ないけど
暗闇に降り注ぎ 神秘の光を放つ
幾多の星々なら
きっと叶える事が出来たのかも・・・
だから
贅沢だって思うけど
もう一度
私の願いを聞いて下さい
“あなたと
いつまでも一緒に・・・・・・”
流レ星二願イヲ
真っ暗な闇の中、寄り添う二つの影。
波の音も静かになり、風が少し冷たい。
二つの影主は、ただ海を眺めていた。
「明日には帰っちゃうんだね。」
そう、二泊三日の旅行も、そろそろ終盤まできていた。
「なんか、あっという間だったなぁ。」
月明かりが海の波間に反射して、きらきらと輝いていた。
「どうしたんだよ。帰ったからって離れ離れになる訳でもないだろ?」
衛は、優しい顔でうさぎを見た。
「そうなんだけどさ。なぁんか寂しくなっちゃった。」
笑顔でそう言ううさぎ。
その表情が今にも泣きそうで、悲しそうで、儚かった。
「何が寂しいのかは分かんないんだけどね、なんか心が寂しいって言ってるみたいなの。」
冷たい風が、全身を包む。
長い髪が、靡く。
「楽しかったな。」
「うん、とっても楽しかった。」
寒い筈なのに、二人は平気だった。
むしろ、寒ければ寒いほど、繋がれた互いの手の温もりが感じられ心地良い。
「・・・・・・俺は、うさこと一緒にいるときが一番楽しくて幸せだよ。」
あ、まもちゃんの瞳
海と同じ、深い蒼色・・・・・・
「私もだよ。」
ギュッと衛の腕を両手で組んだ。
だって、まもちゃんの瞳
海と同じ、深い蒼色で・・・・・・
そのまま同化しちゃいそうで
消えちゃいそうで
「うさこに出会えてよかった。」
「私も!まもちゃんに出会えて幸せだよ。」
「・・・・・・ありがと。」
ねぇ、まもちゃん
本当だよ?
本当に、まもちゃんに出会えてよかった
まもちゃんに出会えなかったらきっと、こんな気持ち知らなかったもの
愛しいとか
切ないとか
だって、まもちゃんの温もりが心地良くて
手に届くところにいてくれないと不安で
きっと私は生きていけないもの
「・・・・・・あ、流れ星。」
二人は顔を上げた。
数多くの星々が輝く中、一筋の光が流れ落ちた。
星が瞬く度に、優しく温かく見守られている気がして。
寂しかったココロも
繋がれた手以上に温かくなった。
「願い事した?」
水面に反射される月光よりも眩しい笑顔が、私に向けられて少し恥ずかしい。
「したよ。でも、教えない。」
「どうして?」
「だって、人に言ったら願いが叶わないもん。」
そう、人に言ったら叶わないもの
たとえあなたにだって教えられない
これからも
ずっと
絶対誰にも言わないから
私の願いを叶えてください
「そろそろ戻る?」
さっきより風が冷たい。
「もう少しだけ・・・・・・。」
「風邪引くよ。」
「平気だよ。」
止む事の無い波の音
消える事の無い星の輝き
離れる事の無い
二つの影と繋がれた手
流れ星がまた
闇夜に零れ落ちた
Fin
