うんちく
●ボーデ・ティティウスの数列
1766年に、ドイツのウィッテンベルグ大学の教授ダニエル・E・ティティウスが発表した法則で、それによると「太陽系の惑星の公転半径は、一定の法則に則っている」ということらしい。ただし、当時の学会の反応は冷たく、何故そうした法則に則るのかというメカニズムが証明できなかったため、彼が発見した法則は、単なるパズルにすぎないと、批判されました。
しかし、1772年に、やはりドイツの天文学者ヨハン・ボーデが、ティティウスの発見した数列を、自分の名前をとって「ボーデの法則」として論文を発表。ある程度の物理的説明がなされていたために、その法則は一躍有名となります。
現在でこそ、それに至る経緯が発覚したことで、「ティティウスの数列」もしくは「ティティウス・ボーデの法則」と呼ばれていますが、ティティウス本人が存命の頃は、「ボーデの法則」と呼ばれていました。ティティウスさんは、とっても気の毒な人ですね。
下の表が、その数列。海王星までは多少の誤差はありますが、ほぼティティウスの数列に則っていることになります。90へぇ。
ティティウスの数列 4 7 10 16 28 52 100 196 388 772 惑星の公転半径 3.9 7.2 10 15.2 27.7 52 95.4 191.9 300.6 395.3 該当する惑星 水星 金星 地球 火星 小惑星帯 木星 土星 天王星 海王星 冥王星
(数字は天文単位/10)
この法則の発表当時は、太陽系の惑星はまだ「土星」までしか発見されておらず、当時の天文学者たちは、この数列の第八項めの数値「196」天文単位付近に第七番目の惑星があるはずと、躍起になって探索することになります。そうして1781年にイギリスの天文学者ウイリアム・ハーシェルによって発見されたのが、天王星です。当時は、時の国王のジョージ3世にちなんで、「ジョルジュム・シドゥス(ジョージ3世の星)」と名付けられましたが、他の太陽系の惑星がローマ神話の神々の名前であることにならって、のちに「ウラヌス」と改名することになります。「セーラージョルジュムシドゥス」・・・う〜ん、確かに嫌かも〜。
さて、この天王星でまたまた脚光を浴びることとなったこの法則ですが、この数列の第5項めに該当する惑星がないことに、当時の人々は気付くことになります。それにより、ティティウスの数列の示す「28」天文単位を探索したところ、1801年にイタリアの天文学者ジュゼッペ・ピアッツィが発見したのが、小惑星セレス(ケレス)です。その後、続々と「27.7」天文単位付近に小惑星が発見されることとなり、「小惑星帯(アステロイド・ベルト)」と呼ばれるようになります。
で、この小惑星帯。もとはひとつの惑星であったという説もあり、その名称は「ケツァルコアトル」、「ティアマト」、「フェイトン(パエトン)」と、複数存在しますが、日向版セーラームーンでは、旧ソ連の天文学者セルゲイ・オルローフが命名した「フェイトン」を採用しています。何故かって言うと・・・・・「セーラー〜」とした時に、単純に他の2つより語呂がよかった、と言うだけでそれ以上の深い意味はありません。ちなみにミュージカル「かぐや島伝説」で登場した彗星コアトルは、この「ケツァルコアトル」から来たものと推測されます。
続いて発見されることになるのは海王星なのですが、ここで大きな問題に衝突することになります。ティティウスの数列によると、海王星は「388」天文単位の付近に存在しなければならないのですが、実際に発見された海王星の公転半径は「300.6」天文単位。22.5%もの誤差があったわけです。「宇宙的なカタストロフィーによって、公転半径に変化が生じた」という説もあるようですが、実際に証明されるまでは、何とも言えませんね(・_・)b 海王星の衛星トリトンが、逆行衛星であったり、天王星の衛星ミランダに、何かで引っかかれたような巨大な傷跡があったりと、この付近で「かつて何かか起こった」と考えると、とても楽しいですね。また、天王星は自転軸が公転面に対して、98度も傾いた「横倒し惑星」です。これにより、「何か巨大な天体が、かつて天王星とニアミスをした」との説もあるようです。
日向版セーラームーンワールドでは、この「巨大な天体」は実在していることになっています。
そしてとうとう、ティティウスの数列は窮地に立たされることになります。冥王星の発見です。1930年にローウェル天文台のC・W・トンボーにより発見された冥王星の公転半径は「395.3」。ティティウスの数列によると、その次ぎに惑星が存在するとされるのは「772」天文単位付近となるので、極端な開きがあります。当時はティティウスの数列そのものが疑問視されることとなるわけですが、近年では「冥王星は小惑星であり惑星ではない」との説が定説となりつつあるので、ティティウスの数列が、完全にデタラメであるとも言い切れなくなりました。ある説では、「冥王星は海王星の衛星だった」とか、「もともとは土星の衛星だった」とか言われていますしね。冥王星の公転が楕円軌道であることと、時により海王星の内側に入り込んでしまうことなどから考えると、荒唐無稽な説ではないと思います。
ちなみに、日向版セーラームーンワールドでは、ティティウスの法則に則って、「772」天文単位付近に存在する惑星を「ネメシス(幽王星)」としています。
●小惑星
先頃、現在発見されいてる天体の中で、最も太陽から遠い距離にある「セドナ」。第10番惑星としたいところだが、その大きさから惑星と称するには不充分との意見が多いです。発見した当の本人(カリファルニア工科大学のマイク・ブラウン)が、「セドナ」を惑星に準ずるものとして位置づけています。
小惑星がなんちゃらとか、カイパーベルトってなんぞやとか、オールト雲ってなに? とか、説明しだすととんでもないことになるので、太陽系にはこういった「惑星ほどではないけれども、そこそこ大きな天体」が、多数存在するということで、納得してください〜。
下の表で見ると一目瞭然。冥王星は木星や土星の衛星より小さかったりする。プー様、ぴぃ〜んち!
天体名 月 冥王星 カロン セレス パラス ガニメデ タイタン ティタニア トリトン セドナ クワオワー アイキオン バルーナ 直径 3476 2274 1172 910 520 5268 5150 1578 2706 1700 1300 1100 1000 備考 小惑星帯 小惑星帯 木星 土星 天王星 海王星 オールト雲? カイパーベルト カイパーベルト カイパーベルト ちなみに、日向版セーラームーンでは、金星にエロスやヒメロスといった衛星が存在することになっておりますが、全くの嘘(現在のところ)ですので、お間違えのないように(笑) 火星のフォボスやディモスのような「破片」的な天体としております。
●反地球
ドラえもんの世界にも登場したり、何かと取り沙汰されることのある反地球。その定義は、「太陽を挟んで、地球と同じ軌道を地球と同じ速度で公転している」ということですが、ちょっと詳しい人なら、物理的に存在し得ないということがお分かりになるだろうし、また、常に地球から見えない位置にあると言うこともあり得ないと分かるでしょう。前者を説明すると、「ケプラーの法則」ってなんぞやから始めなくてはならないので、「へぇ〜、そう言うもんなんだぁ」と納得して頂きたいです(強引)。後者の方で説明しますと、「地球の公転軌道が真円でないから」と言うことで説明が付いてしまいます。地球の公転軌道が真円を描いているのならば、太陽を挟んで反対側にある「反地球」は、地球からは常に見えない位置にあるのですが、実際の地球はやや楕円軌道を描いて公転しています。
ここでケプラーの法則がひとつだけ出てくるのですが、このケプラーの法則(第2法則)によりますと、近日点が近付くと、「公転速度は速くなる」というのです。ということは、反対側を公転している「反地球」は遠日点となるわけで、そうなると公転速度は遅くなります。つまり、速度差が生じることになるので、常に太陽の向こう側に隠れ続けることはできないのです。
さて、日向版セーラームーンに登場する反地球アスタルテですが、地球と同一軌道を公転しているわけではありません。惑星アスタルテは、太陽を楕円形の焦点にして「点対称の軌道」を描いて公転しております。飛鳥昭雄氏が、「ぜったいにある!」と声を大にして提唱している惑星ヤハウェの軌道を参考にさせて頂きました。どうやらこの軌道だと、地球から見るのはかなり困難なようです。ちなみに、参考にしているだけで、日向は「そんな星がある」とは信じておりません。
このヤハウェ。NASAがパイオニア・ヴィーナス2号によって既に発見していて、現在はその存在を隠蔽していると飛鳥氏は言っておるのですが、日向的には「そんなことをする必要がどこにあるの?」と考えているので、NASA隠蔽説には否定的です。「太陽系理論が、根底から覆される」ということが、隠蔽説を唱える方たちの言い分ですね。そこまでいくと、専門的に勉強をしていない日向の範疇ではなくなってくるので、完全否定はしませんが、肯定もしないというあやふやな態度を取るに留めています。小説のネタ的には、とっても興味のある説ではありますね(笑) 飛鳥氏の本はけっこう読んでいるので、嫌いじゃないですよ、この方。むしろ、一度お話をじっくり聞きたいくらいです(笑)
●惑星ヴァルカン
海王星の存在を理論的に予測したフランスのルベリエは、同時に水星の内側にも惑星があると予測しています。その水星の内側の惑星が、「ヴァルカン」です。現在では、そんな惑星は(たぶん)存在しないだろうと言われていますが、発見されたら面白いだろうなぁと、日向は思っております。
日向がヴァルカンのことを知ったのは小学校・高学年の頃(20ウン年前)であり、その当時は木星と天王星の間にあると、何故か認識しておりました。20歳頃まで約10年間、ヴァルカンの位置を間違って認識しており、学生の頃書いた小説にも、ヴァルカンの位置は木星の外側ということになっとおります(汗) 水星の内側だと知った時は、さすがに仰天しました・・・(^^ゞ
余談ですが、ミュージカルのドラクルシリーズに登場したバルカンが二重惑星という設定でしたが、どうやらその設定、「スタートレック」から持ってきたようです。「スタートレック」に、バルカンという名前の惑星が出てくるのです。最近、知りました・・・(笑)