縮尺が設定されないマスタシェイプを作成することもできます。つまり、このマスタシェイプを使えば、図形は図面縮尺に影響されずに、ページ単位に合わせて同じサイズに描画されます。たとえば、建築図面の表題欄の図形や地図の説明文などは、縮尺とは関係なく同じサイズでなければなりません。[表題欄] シェイプのサイズを維持するには、図面単位で表されている場合であっても、シェイプの寸法をページ単位に変換する必要があります。
Visio® には、縮尺を決めるための 2 つのページ数式があります。ThePage!PageScale および ThePage!DrawingScale です。これらの 2 つの値の比率を用いて、縮尺を調整しないための数式を作成し、ページ単位で表された値を図面単位の値に変換することができます。
ページ単位の値を、これに対応する図面単位の値に変換するには、次の比率で乗算を行います。
ThePage!DrawingScale / ThePage!PageScale
この比率を使ってマスタシェイプ用のユーザー設定の数式を作成すると、ユーザーは任意の図面縮尺に図形をドラッグすることができ、その図形の縮尺は調整されません。たとえば、用紙上で常に幅 5cm の、サイズ変更ができない図形を作成するには、[図形情報] セクションに次の数式を入力します。
Width = GUARD(5 cm * (ThePage!DrawingScale / ThePage!PageScale))
ユーザーが図形のサイズを変更できるようにしたい場合には、GUARD 関数を使用しないでください。このマスタシェイプのインスタンスを 1cm = 1m の縮尺のページに作成すると、[Width] の数式がドラッグ先のページの縮尺に合わせて再評価されます。
= 5 cm * (1 m / 1 cm)
= 5 cm * 100
= 500 cm
図形を等倍表示で印刷したり画面上に表示すると、500cm の図形が 5cm に縮小されます。
縮尺が調整されないマスタシェイプを多数作成する場合には、ページ シートのユーザー定義セルに、ThePage!User.Antiscale などの縮尺を調整しないための数式を格納しておくと効率的です。このようにすると、ページ シートを変更するだけで、縮尺を調整しないための数式を簡単に編集することができます。縮尺を調整しないように設定されたマスタシェイプの式は次のようになります。
Width = 5 cm * ThePage!User.AntiScale